コールセンターに必要な3つのDXと推進するメリット3選【5つのシステムを紹介】
経済産業省のレポートにある「2025年の崖」の影響により、さまざまな分野においてDXが推進されています。コールセンターにおいても、人材不足や業務効率化の低下は以前から問題視されており、2025年の崖がさらに拍車をかけると危惧されています。
しかし、コールセンターのDX化が進んでいる企業は多くありません。そこで今回の記事では、コールセンターのDX化の重要性やメリットを解説します。おすすめのシステムやツールも紹介しますので、DX化でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
目次
コールセンターのDX化は2025年の崖に向けた重要な対策
「2025年の崖」は、2018年に経済産業省が発表したDXレポート中にある言葉です。ITシステムの問題点を解決できなかった場合に懸念される、巨大なリスクを指しています。このままDXが進まなかった場合、日本全体において最大12兆円の経済損失を生むと予測されています。DXレポートから分かる主な問題点は、以下のとおりです。
- デジタル競争の敗北
- IT人材の不足
- システム保守・運用のコスト高
- システム障害発生による業務停止のリスク高
- セキュリティの脆弱化
DX化は、2025年に起こると予想されている問題を解決するための重要な対策です。しかし、各分野で問題が危惧されているものの、実際DX化を本格的に実行できている企業は多くありません。コールセンターでも同様に人材不足や業務効率低下など、多くの問題が深刻化する危険があります。DX化を推進しチャットボットの導入やツールの活用で業務の自動化を図ることで、コールセンターの問題を克服し企業成長の手助けとなるでしょう。
コールセンターに必要な3つのDX
コールセンターのDX化を進める際は、以下の3つの点を意識しましょう。
- データ活用
- 顧客対応
- オペレーション
単に業務をデジタル化するのではなく、顧客満足度の向上やオペレーターの負担軽減など、自社の課題に沿った対策を行うことが重要です。
データ活用
デジタルツールを活用して問い合わせ内容や応対履歴などを分析し、自動でデータ化することでマネジメントや運営の強化が可能です。さらに応対記録をもとにフィードバックを強化することで、オペレーターのスキルアップや応対品質の向上が期待できます。
また、評価の高いトークを参考にしてマニュアルを作成すれば、オペレーターごとの応対品質のバラツキも改善できます。さらに、顧客行動を把握し効果的なアップセル・クロスセルを実施することで、顧客単価が向上し企業全体の収益アップが見込めるでしょう。
顧客対応
コールセンターでは、オペレーターによる1対1の応対が主流となっていました。そこで、顧客対応をDX化することでスムーズな問い合わせへの受付が可能となり、CXの向上が期待できます。また、コールセンターでは慢性的な人材不足により、電話のつながりにくさが課題となっています。
チャットボットやボイスボットを導入することで、時間帯や休業日に関係なくいつでも気軽に問い合わせできるので顧客満足度の向上が期待できるでしょう。さらに顧客情報の一元管理が可能となるため、過去の履歴を参考に的確な応対が可能です。
オペレーション
実はコールセンターでは、通話終了後の後処理に負担と手間がかかります。CTIやCRMを導入することで、効率的な顧客情報の管理・活用が可能です。オペレーションに関わるDX化はオペレーターの業務負担軽減に繋がり、人件費削減や良好な労働環境の構築に貢献します。また、業務負担の軽減は従業員満足度の向上が期待できるため、優秀な人材の確保や離職率低下など人手不足の問題を解決する糸口となるでしょう。
コールセンターのDX化のメリット3選
コールセンターのDX化は、以下のようなメリットが得られます。
- オペレーターの業務効率化
- 人材不足の解消
- 応対品質の均一化
コールセンターは慢性的な人材不足や厳しい労働環境など、さまざまな問題を抱えています。DX化は、コールセンターにおける課題解決の手段として注目されています。ここでは、代表的なメリット3つについて詳しく見ていきましょう。
オペレーターの業務効率化
DXを進めることで、オペレーター業務の効率化が可能です。オペレーターが担う主な業務には、以下のようなものがあります。
インバウンド型
- 商品注文の受付
- サービス契約の手続き
- 商品・サービスに関する問い合わせ対応
- 商品の取り扱いに関する質問の受付
- クレーム対応
アウトバウンド型
- 商品・サービスの勧誘
- アンケートや世論調査
- アポイントの獲得
コールセンターにはインバウンド型とアウトバウンド型があり、オペレーター業務は多岐にわたります。商品注文の受付や取り扱いに関する質問など、パターン化できる問い合わせを自動化することで自己解決率が向上します。
また、顧客対応以外にも顧客情報の入力や問い合わせ内容の記録など、後処理業務と呼ばれる事務作業が必要です。音声認識ツールを活用することで、問い合わせ内容の自動入力が可能となり後処理にかかる手間と時間の削減が可能です。
人材不足の解消
コールセンターでは、顧客が自分で解決できるような簡単な問い合わせも多く寄せられます。そのため、チャットボットやFAQで自己解決に導くことができれば、電話による問い合わせを減らせます。電話応対の件数が減ることで、コールセンターに配置する人員の削減が可能です。人員不足が問題視されているコールセンターにとって、自己解決率向上は大きなメリットと言えるでしょう。
また、1対1が基本の電話応対とは異なり、チャットなら1人のオペレーターが複数の問い合わせに並行して対応できます。DXの推進により少ない人数で業務を行えるため、人材不足の解消にも貢献します。
応対品質の均一化
AIを活用することで、迅速かつ均一な応対品質を保てます。CRMやFAQを活用することで、オペレーターは適切な情報にすぐに辿り着くことが可能です。さらに、AI搭載型のFAQは検索も容易にできるため、知識や経験に関係なく同じレベルの応対品質を維持できます。
また、回答を素早く正確に伝えられるので、顧客の待ち時間が減り満足度向上に繋がります。コールセンターにおける応対品質のバラツキは、企業イメージの低下に繋がる重要な課題です。コールセンターのDX化は、いつでも最適なサービスを提供できる仕組み作りを可能にします。
コールセンターのDX推進に役立つシステム5選
コールセンターのDXを進める際に役立つ、5つのシステムを紹介します。
- チャットボット
- ボイスボット
- FAQツール
- CRM
- SMS
これらのシステムを活用することで、業務効率化や顧客満足度の向上に貢献します。それぞれのシステムの特徴や活用の仕方などを詳しく解説するので、コールセンターのDX化でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
チャットボット
チャットボットとは、設定したルールや人工知能を活用したコミュニケーションツールです。チャットボットは、以下の2つのタイプに分けられます。
- シナリオ型
- AI型
シナリオ型は、事前に設定したルールに沿って適切な回答を提供します。定型化可能な質問や、アンケート回答などに適しているのが特徴です。難しい知識などは必要ないため、比較的容易に導入できるタイプと言えます。
AI型は機械学習機能が搭載されており、複雑な質問にも回答できるのが特徴です。ユーザーの利用が多いほど、精度が高まります。また、どちらのタイプも24時間365日いつでも問い合わせ対応可能なため、顧客が気軽に利用できる点がメリットです。
ボイスボット
ボイスボットとは、AI音声自動応答サービスや音声認識システムなどを指します。顧客が話す言葉をテキストに変換し、最適な回答を検索し音声で伝えるツールです。従来の自動音声応答システムはガイダンスに従いプッシュ操作が必要で、その煩わしさからユーザーが離脱するケースがありました。
ボイスボットはプッシュ操作などを必要としないため、顧客の離脱を防ぐ効果が期待できます。また、利用されることにより情報が集まれば、機械学習によって精度が高まるのが特徴です。
FAQツール
コールセンター向けのFAQツールには、以下の2つのタイプがあります。
- 顧客が利用するFAQページ
- オペレーター用のFAQページ
顧客が利用するFAQページは、よくある質問など簡単な問い合わせ対応に有効です。顧客向けのFAQを充実させることで、問題の自己解決率を高められます。
オペレーター用のFAQは、マニュアル検索を容易にします。必要な情報に素早く到達できるため、顧客を待たせず問題解決が可能です。また、スキルや経験に関係なく適切な回答を探し出せるため、コールセンター全体の応対品質向上が期待できます。
CRM
CRMとは、顧客情報を一元管理するシステムです。名前や年齢など基本情報だけでなく、過去のやり取りを把握しながら対応できるため、より質の高い接客が期待できます。CRMを活用することで顧客の行動パターンを分析し、必要としている情報や求めるサービスの提供が可能です。
SMS
SMSは、電話番号だけでメッセージ送信が可能です。到達率や開封率の高いSMSを利用することで、メッセージを見てもらえる確率がアップします。アウトバウンド業務とインバウンド業務の両方に活用できるため、コールセンターにおける有人対応の稼働削減に貢献します。
特に電話のつながりにくさが課題の場合は、SMSの活用が効果的です。手間とコストがかからない効率の良いコールセンター運営を求めている方は、SMS活用を検討してみてはいかがでしょうか。
コールセンターのDX化を進める際のポイント
DX化を進めたからといって、自社の課題をすべて解決できるとは限りません。導入目的の明確化や運用体制の整備など、DX化を進める際の注意点を抑えておきましょう。
導入目的の明確化
デジタル技術を搭載したコールセンター向けシステムは数多くありますが、すべてが自社の課題解決に適しているとは限りません。コールセンターのDX化を行う際は、解決したい課題に適しているかや目的に合っているかを慎重に検討する必要があります。
高性能なシステムであっても自社の目的に合わない場合は、無駄なコストとなるため必要な技術を選定することが重要です。まずは現状の課題を洗い出し、システム導入の目的を明確化しましょう。
運用体制の整備
システム導入後は、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。いつ誰が、どのようにメンテナンスを行うかなど、導入前に話し合って体制を整えておくことが大切です。また、ツールやシステムを導入しても、すぐに期待通りの結果が得られるとは限りません。
定期的にPDCAサイクルを回し、修正を繰り返して精度を高めていきましょう。そして、システムを導入する際は専門知識を必要とするため、社内で適した人材を配置する必要があります。自社で人材を確保できない場合は、導入後のサポートが充実した受託業者に依頼するのも1つの方法です。
まとめ
2025年を迎えるにあたり、あらゆる職種においてDX化は重要な施策と言えます。慢性的な人材不足の問題を抱えているコールセンターにおいては、2025年の崖はより深刻な事態が予想されます。労働人口の減少が顕著となる2025年に向けて、自社の課題解決に必要なシステムやツールを検討し、十分な対策を講じておくことが大切です。
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