【徹底解説】コールセンターのCX向上に必要な4つの指標!得られる3つのメリットを紹介
近年は商品やサービス自体での差別化が難しくなっており、コールセンターにおけるCX向上のニーズが高まっています。優れた顧客体験を提供できているかを判断するには、指標を用いて評価することが重要です。しかし、コールセンターにおけるCX向上に必要な指標や、評価方法が分からないという方もいるでしょう。
そこで今回の記事では、コールセンターのCXを向上するために必要な4つの指標と、評価方法について解説します。また、コールセンターのCXが重要視されている背景や、向上させることで得られるメリットについても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
コールセンターのCX向上に必要な4つの指標
コールセンターのCXを向上するために必要な指標について解説します。さまざまなKPIを用いて数値化することで、客観的に評価できるため改善すべき点を明確にできます。コールセンターにおける代表的な4つの指標を見ていきましょう。
応対品質
応対品質とは、オペレーターの対応の質を評価する指標です。応対品質のKPIは、以下のようなものがあります。
- 応答率(%)=対応件数/着信件数×100:着信数に対して応答できた数
- 放棄率(%)=放棄件数/着信件数×100:オペレーター対応前に切断された数
- SL(サービスレベル)=設定時間内に対応できた件数÷着信件数×100:設定時間内に対応できた数
- ASA(平均応答速度)=合計応答時間÷着信件数:着信から応答までにかかった時間
また、電話の繋がりやすさも重要なポイントですが、応対品質は「顧客の問い合わせに対して丁寧な対応ができているか」や「求める情報を提供できているか」などでも判断されます。非対面で対応するコールセンターでは「顧客の要望を正確に理解して適切な回答を提供できるか」がCX向上の課題となっています。
効率性
効率性とは、コールセンターの業務が効率よく行われているかを評価する指標です。効率性のKPIは、以下のようなものがあります。
- 稼働率(%)=(通話時間・保留時間・後処理時間・待機時間の合計)/勤務時間×100:オペレーターの勤務時間内に、顧客対応にかけた時間の割合
- 平均処理時間=問い合わせ対応にかかるすべての時間(すべての通話時間+すべての後処理時間)÷総処理件数:通話や後処理などを含めた、1回の顧客対応にかけた時間の平均
- 平均後処理時間=すべての後処理時間÷すべての後処理件数:1回の後処理にかかった時間
- CPC=コールセンター全体のコスト÷処理件数:1コールあたりにかかるコスト
「1回の問い合わせにどれくらい時間がかかっているか」「1コールあたりのコストはどのくらいか」などで判断されます。指標を用いて評価しますが、数値だけに目を向けてしまうのは危険です。コールセンターのCX向上で大切なことは、顧客が満足する対応を行うことです。そのため、常に顧客のニーズに応えられているかを意識して効率性を高めていくことが重要です。
顧客満足度
顧客満足度は、コールセンターの対応に顧客がどのくらい満足しているかを評価する指標です。顧客満足度を測るKPIは、以下のようなものがあります。
- CS(顧客満足度):顧客がどれくらい満足しているかを示す指標
- NPS(顧客推奨度)=回答者全体に占める推奨者の割合(%)-批判者の割合(%):企業や商品をどの程度推奨したいと思えているかを示す指標
ほかのKPIのように、着信数や応答数などを使って数値化できるものではありません。顧客へのアンケートを実施し、得られた回答で計測することが多いです。また、顧客が満足しているかどうかを判断する指標のひとつに、推奨度を測るKPIがあります。企業に対する信頼度や愛着度を知ることができ、NPSを上げることでリピート率の向上や新規顧客獲得が期待できるでしょう。
運営
「運営」では、健全なコールセンター運営が行われているかを評価します。運営に関するKPIは、以下のようなものがあります。
- 欠勤率=欠勤・遅刻・早退時間の合計(月間)÷勤務予定時間(月間)×100:勤務予定日に欠勤した日数の割合
- 離職率=一定期間内の離職者数÷在籍オペレーターの人数×100:一定期間内で離職したオペレーターの割合
コールセンターのCXを向上させるためには、オペレーターが快適に働ける場所であることが大切です。職場環境の快適さや適正な業務量であるかは、オペレーターの欠勤率や離職率で判断できます。運営に関する指標を用いて、オペレーターの管理を徹底し、心理的・身体的な負担にいち早く気づくことが重要です。
コールセンターでCXが重要視される3つの理由
顧客接点が複雑化している現代において、コールセンターのCX向上が重要視されています。コールセンターの顧客体験は部署内だけでなく、企業全体に影響すると考えられています。そこで、ここではコールセンターが重要視される理由について、詳しく見ていきましょう。
顧客と直接接点を持てる部署である
デジタル化が進み、顧客と企業の接点はより複雑化しています。しかし、直接接点を持てる場は減っており、ECサイトでのショッピングでは人を介さず全ての手続きが完了することが多いです。そのなかで、コールセンターは直接顧客と接点を持てる貴重な部署であり、問い合わせやアフターサービスなどさまざまなフェーズで顧客体験を提供できます。
顧客はSNSの投稿やネット広告など、さまざまなチャネルで商品やサービスの情報を得ていますが、その多くは大勢に向けたものです。それに対してコールセンターでは、顧客一人ひとりに合わせた情報や回答を提供できます。また、課題を解決するだけでなく、心情に寄り添った声かけや気遣いが顧客の感動を生み、企業全体のCX向上にも貢献するでしょう。
人ならではの価値を提供できる
商品購入やサービスの予約などで、デジタルツールを活用する場面は増えています。人を介さず完結することも多いなか、コールセンターは人が対応する数少ない顧客接点です。オペレーターと顧客が直接コミュニケーションをとり、人だからこそできる柔軟で細やかな対応がCXの向上に貢献しています。
コールセンターで感動体験を得た顧客は、その出来事をほかの誰かと共有したくなることも多いでしょう。友人や家族に直接伝えたり、SNSを利用して大勢に発信したりすることで、宣伝効果も期待でき新規顧客の獲得にも繋がります。
顧客データを収集する拠点である
コールセンターには日々「お客様の声」が届きます。問い合わせの数だけ情報が集まるため、顧客データを収集する拠点となっています。また、顧客情報や問い合わせ履歴を収集・分析することにより、顧客の要望や困りごとの把握が可能です。
CX向上を目指すうえで顧客のニーズを把握することは重要なポイントとなります。しかし、問い合わせ対応をしながらデータ収集や分析を行うのは大変なので、業務を効率よく行えるシステムの導入も検討しておくと良いでしょう。
CX向上で得られる3つのメリット
CXの向上は企業にとってさまざまなメリットをもたらします。それらのメリットによって新規顧客の獲得やリピーター率向上など、収益アップに繋がる成果が得られます。ここでは3つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
顧客ロイヤルティの向上
顧客が企業や商品・サービスに信頼や愛着を持つことを「顧客ロイヤルティ」と呼びます。同じ商品やサービスを提供する企業が増えている現代社会で、自社を選択してもらうには顧客ロイヤルティの向上はとても重要です。顧客ロイヤルティの向上は、リピート率や顧客単価のアップにも繋がります。
新規顧客を獲得するためには、コストが大幅にかかるため、既存顧客のリピート率を上げることは収益を安定させる重要なポイントです。収益の7〜8割がリピーターである企業も珍しくありません。新規顧客の比率が多い企業の場合は、同じものを購入したとしても集客にかかるコストがかかるため、収益率も低くなります。顧客ロイヤルティを向上し、リピーターとなる優良顧客を増やすことは、企業の収益アップに大きく貢献するでしょう。
口コミによる宣伝効果
CXが向上し顧客が期待以上の体験を得られると、高評価の口コミが多くなります。SNSの普及により誰でも気軽に情報を発信できるため、商品やサービスに対する評価の高い投稿は絶大な宣伝効果を発揮します。またCXが向上し顧客満足度が高くなれば、家族や友人など周囲へ積極的に勧めることも期待できるでしょう。
新規顧客のために自社で宣伝するとなると、時間とコストが大幅にかかります。口コミによる宣伝効果が得られれば、新規顧客獲得のための時間とコストの面でも効率が良いです。CXの向上はリピーター率の向上だけでなく、新規顧客の獲得にも大きく貢献するでしょう。
競合他社との差別化
同じような商品やサービスが流通することで、競合他社との差別化が難しくなっています。既存顧客が競合他社へ流れてしまうのは、企業にとって大きな損失です。以前は価格競争も行われていましたが、続けるのには限界があります。価格を下げることだけに注力しても、満足いく商品を提供できず顧客離れに繋がります。
そこで優れたCXを提供し、商品・サービスの利用以外で価値を感じることができれば、他社へ顧客が流れてしまうリスクを減らせます。同じ商品・同じ価格が並んだとき「この店で買いたい」と思われるためには、CXの向上が効果的です。
良質なCXを提供できるコールセンターを作る2つのポイント
コールセンターのCXを向上するために必要な2つのポイントについて解説します。良質なCXを提供するためにできることを見つけ、自社のコールセンター運営に取り入れてみましょう。
多種多様なチャネルを設定
インターネットの普及に伴い、電話以外での問い合わせも増加傾向にあります。電話以外の主な問い合わせチャネルは、以下のとおりです。
- メール
- チャット
- SNS
- FAQ
- WEBサイトの問い合わせフォーム
どのチャネルが便利であるかは人によって異なるため、顧客側が複数のチャネルの中から選択できる仕組みを作ることが大切です。電話以外のチャネルの多くは、時間に縛られず好きなタイミングで問い合わせができます。また、各チャネルの連携を行い顧客情報を一括管理することで「何度も同じ説明をしなければならない」などの不満を減らせます。CXを意識したコールセンターを作るなら、多種多様なチャネルを設定しましょう。
情報共有と部署間連携の強化
顧客からの問い合わせは多岐に渡るため、コールセンター内だけで解決できないこともあるでしょう。その際は、専門の部署へ対応してもらうことになります。部署間をまたぐ対応は不満を抱かれやすいため、顧客の情報やこれまでの経緯を十分に共有することが重要です。情報の共有をしっかり行うことで、対応時間の短縮にも繋がります。
顧客側はスムーズな対応で問題解決ができ、満足度も高まるでしょう。顧客の情報共有と部署間連携の強化は、優れたCXを提供するために欠かせないポイントです。情報を共有できるシステムを導入すれば、業務も効率化されオペレーターの負担を軽減できます。
評価指標を用いた改善を行い、優れたCXを提供できるコールセンターを目指しましょう
コールセンターのCXを向上させるためには、顧客目線の指標を設定し改善していくことが大切です。また、コールセンターにおけるKPIは「応答率」や「放棄呼率」に注目するといいでしょう。繋がらないコールセンターは顧客の不満を生むだけでなく、貴重な顧客を失うことにもなります。まずは応答率や放棄呼率の改善を行い、応対品質を高めていくことが重要です。
それに加えて効率性や顧客満足度など、コールセンターにおけるCX向上に必要な指標に基づき、評価・改善を繰り返すことで優れたCXを提供することができます。コールセンターのCX向上を目指したい方は、あらゆる顧客接点でお客様に合わせたアプローチを提供できる「NTTネクシア」に、お気軽にご相談ください。
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