コールセンターの品質管理に重要な4項目!調査方法や注意すべきポイントをわかりやすく解説
企業全体のイメージアップや顧客満足度の向上のため、コールセンターの品質管理が重要視されています。コールセンターで高品質なサービスを提供できれば、企業の最終目標の達成にも大きく貢献します。しかし、コールセンターにおける品質は多岐に渡るため、適切な管理が難しいと感じる方もいるでしょう。
そこで今回の記事では、コールセンターの品質管理について解説します。顧客満足度に影響する品質の指標やチェック方法など、効果的なコールセンター運営に役立つ情報を紹介しますので、コールセンターの運営でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
目次
コールセンターで管理するべき4つの品質
コールセンターの品質には以下の4つがあります。
- 応対品質
- 接続品質
- 運営品質
- 処理品質
4つの品質について、評価するポイントや注意点について詳しく見ていきましょう。
応対品質
応対品質とは、オペレーターの電話対応の質を指します。顧客の問い合わせに対して適切な対応ができたかを測る指標です。応対品質を評価する内容はさまざまですが、一般的にコールセンターが重視しているポイントには、以下のようなものがあります。
- 顧客のニーズに沿った対応ができているか
- 言葉遣いは適切であるか
- 一般的なマナーを守れているか
- 顧客への共感を持てているか
- 正しい情報を提供できたか
- 迅速な回答ができたか
応対品質を計測する際は、複数の指標を組み合わせて評価するのが一般的です。また、応対品質はコールセンターを効果的に運営するための重要な品質で、顧客満足度の向上に大きく影響すると言われています。質の高いコールセンターを運営するためには、応対品質を向上させることが大切です。
接続品質
接続品質とは、電話の繋がりやすさを指します。繋がらないコールセンターは顧客のストレスとなるため、顧客満足度に影響する要素の1つです。接続品質の向上には、コール数に対して十分な回線数・人員数を確保できているかが重要となります。一方で、ただ闇雲に増やすのではなく稼働状況に合わせた調整が大切です。
繁閑差に合ったオペレーターの増減や回線数の見直しを行い、コールセンター全体を適切に設計することが重要なポイントと言えます。また、接続品質は顧客が最初に経験する品質であり、電話が繋がらないことにはコールセンターの目的を達成できません。接続品質に課題がある場合は、早急な解決が必要です。
運営品質
運営品質とは、コールセンターの目的達成のために適切な運営が行われているかを表す指標です。運営品質は、オペレーターの離職率や欠勤率で評価されます。オペレーター業務は問い合わせだけでなく、ときにはクレームへの対応が必要です。そのため心理的負担が大きく、オペレーターの離職率や欠勤率の高さがコールセンター業界でも問題となっています。
また、人材不足による長時間労働など身体的負担も運営品質を低下させる原因の1つです。欠勤率が高くなるとほかの従業員の負担が増え、さらに欠勤者や離職者が増加する悪循環に陥る可能性が高くなります。運営品質の低下は業務に直接的な影響を与えるため、コールセンター全体の課題として捉えて早急な対応が必要です。
処理品質
処理品質とは、顧客の要望に正確に応えられているかを指しており、業務の正確さや対応スピードで評価されます。処理品質を評価するポイントには、以下のようなものがあります。
- 問い合わせ対応や付随業務にミスはなかったか
- 1度の問い合わせで解決できたか
- 1コールに対する通話時間が長過ぎないか
処理品質では、個々の応対スキルや処理能力が問われます。処理品質を向上させるためには、オペレーターがわかりやすい業務マニュアルを作成し、精度と速度の両方を高めることが大切です。また、電話番号による顧客情報検索や通話録音ツールなど、業務を効率化できるシステムも処理品質向上に役立ちます。
顧客満足度に関するコールセンターの品質管理の指標
品質管理は、コールセンターの顧客満足度に大きく影響します。品質の高いコールセンターを運営するためには、業務を行うなかで見えにくい問題点を数値化し、改善を繰り返していくことが大切です。ここでは業務内容に応じたKPIの種類や算定方法を紹介します。
応対品質
応対品質は、オペレーターの電話対応の質を測る重要な指標です。応対品質を管理する主な指標には以下のようなものがあります。
- モニタリングスコア=数値化するのは難しい言葉遣いやマナーなどをチェック項目に従って管理者が評価する
算定方法:顧客対応の履歴や通話音源を参考にオペレーターの対応を管理者が5段階で評価 - 顧客満足度調査スコア(C-SAT)=問題解決の度合いやオペレーターとの通話を通じて顧客が得た満足度を評価する
算定方法:顧客を対象にアンケートを実施し5~10段階で評価 - クレーム発生率=顧客からの苦情件数の割合
算定方法:苦情件数÷総応答数×100 - Thanks Call発生件数=顧客からのお礼や感謝の数
算定方法:顧客から頂いたお礼の手紙や感謝の言葉の数を手動でカウント
応対品質の低下は企業のイメージダウンを招く恐れがあります。応対品質の管理を徹底し、顧客満足度の高いコールセンターを作ることが求められます。
接続品質
接続品質は、繋がりやすさを評価する指標です。接続品質を管理する主な指標には、以下のようなものがあります。
- 応答率=全てのコール数に対してオペレーターが対応できたコール数の割合
算定方法:オペレーターが対応できたコール数÷総コール数×100 - 放棄呼率=オペレーターが応答する前に切断されたコール数の割合
算定方法:切断したコール数÷総コール数×100 - サービスレベル=着信から応答するまでの時間を設定し、時間内に対応できたコール数の割合
算定方法:設定時間内に応答したコール数÷総コール数×100 - 平均応答速度(ASA)=着信からオペレーターが応答するまでの平均時間
算定方法:着信からオペレーターが応答するまでの時間の合計÷総着信数 - 話中率=回線数の許容を超えて電話が集中し話し中となり、オペレーターに繋がらなかったコール数の割合
算定方法:話し中になった入電数÷総コール数×100 - CPH=1人のオペレーターが一定の時間内に対応できる処理件数
算定方法:総処理件数÷総稼働数
接続品質は応対品質と同様、顧客満足度に影響する重要な品質です。繋がりにくいコールセンターは顧客に不満を与えやすいため、課題を発見したら速やかな対策が必要です。
処理品質
処理品質は、顧客の問い合わせに対して正確に対応できたかを評価する指標です。処理品質を管理する主な指標には以下のようなものがあります。
- 一次完結率=1度の問い合わせで解決できた割合
算定方法:1度の問い合わせでサポートを完了した件数÷総対応数×100 - ミス率=問い合わせ対応や付随業務において発生したミスの割合
算定方法:各コールセンターでミスの定義や測定方法を決定して計測する - エスカレーション率=オペレーターだけで解決できず、上司や他部署に相談・質問した割合
算定方法:相談・質問した件数÷総対応数×100 - 保留発生率=オペレーターが対応中に発生させた保留の割合
算定方法:保留にした数÷総対応数×100 - 再入電発生率=1度の電話で解決せず、再度問い合わせを受けてしまった割合
算定方法:再度問い合わせを受けた件数÷総応対数×100
顧客が求めている情報や回答を正確に伝え、1度の電話で解決することが大切です。処理品質の向上によって、顧客満足度の高いコールセンター運営に繋がります。
コールセンターの品質をチェックする方法
コールセンターの品質管理では、設定した品質基準をクリアできているかをチェックする必要があります。そこで、ここではコールセンターの品質を調査する方法を紹介します。それぞれの特徴や活用方法を見ていきましょう。
モニタリング
モニタリングとは、オペレーターの顧客対応を記録し、管理者が話し方やマナーなどをチェックすることです。実際の顧客対応を確認することで、顧客のニーズを正確に捉えられているかや丁寧な言葉遣いができているかなどをチェックします。
モニタリングの結果をフィードバックして改善することで、オペレーターの質を高めることができ、コールセンター全体の品質向上が可能です。チェック方法は「リアルタイムモニタリング」と「録音によるモニタリング」の2つの方法があります。モニタリングはコールセンターの品質チェックによく用いられる方法で、新人やOJT期間のオペレーターに有効です。
ミステリーコール(覆面調査)
ミステリーコール(覆面調査)とは、品質管理の担当者もしくは外部の調査業者が顧客を装って問い合わせをし、オペレーターの対応スキルをチェックする方法です。事前にシチュエーションやオペレーターの評価基準を設定し、通話を通して評価を行います。ミステリーコールを使えば顧客目線でチェックできるため、顧客の不満点を捉えやすいのがメリットです。外部業者に依頼する場合は費用がかかりますが、顧客視点での応対品質改善が必要な場合はミステリーコールが有効です。
診断サービス活用
診断サービスとは、応対品質の評価を外部の専門業者に委託する方法です。オペレーターの応対を録音し、外部業者が評価項目に基づきチェック行いフィードバックします。品質管理のノウハウを持つ専任者がオペレーターの応対スキルを客観的に評価し、コールセンターの品質向上に必要な課題を明確にできるのがメリットです。また、オペレーターのスキルアップに加えコールセンター全体の改善点を明確にできます。診断結果を元に業務マニュアル作成や教育環境の整備を行うことで、高品質なコールセンター運営に繋がるでしょう。
コールセンターの品質管理を適切に行うには担当者を決める事が重要
コールセンターの品質を管理する担当者を、決めておくことが大切です。コールセンターの品質管理では、丁寧さや信頼など数値化できない部分もあるため担当者によって基準がぶれる可能性があります。そのような事態を防ぐために、品質管理を行う際はスキル・知識を持った方が担当するのが望ましいとされています。一般的には、以下のような方が担当者となることが多いです。
- SV(スーパーバイザー)
- 専任の品質管理担当者
- センターの管理者
自社にノウハウがない場合や、適任者が見つからない場合は外部に委託することも検討しましょう。また、コールセンターの品質管理を実施する際は、管理担当者任せにするのではなく適切な組織作りが重要です。NTTネクシアでは、コールセンター業務の現状を分析して課題を明確にし、最適なコールセンター設計を提案します。実績不足や適任者不在により品質管理に不安がある場合は、お気軽にNTTネクシアへご相談ください。
コールセンターの品質管理を行う際に注意すべきポイント
コールセンターの品質管理において重要な2つのポイントについて解説します。
- 定期的に行う
- 必ずフィードバックをする
品質管理はチェックするだけではなく、改善に向けた取り組みや行動を起こすことがコールセンターの品質向上に繋がります。
定期的に行う
コールセンターの品質管理は、継続的に行うことが重要です。コールセンターでは、安定的で高品質なサポートやサービスの提供を求められています。単発的な品質管理では、たまたま結果が良かったということも考えられるため、常に質の高いサービスを提供できるとは限りません。
定期的な品質チェックを行い、評価を均一にすることで、いつ問い合わせしても高品質な対応ができるコールセンターへと変化していくでしょう。一時的な結果で満足せず、継続的な品質管理への取り組みが重要です。
必ずフィードバックする
モニタリングや診断サービスなどで調査したあとは、必ずフィードバックを行いましょう。品質改善を行うためにはオペレーター自身が問題点や改善点に気づくことが大切です。費用と時間をかけて調査した結果を、オペレーターへ伝えなければ意味がありません。調査結果を元に、適切なフィードバックを行い、オペレーター自身が課題を認識し行動を変えることが重要です。
コールセンターの品質管理を行い、顧客満足度を高めましょう
貴重な顧客接点であるコールセンターの品質を向上することで、顧客満足度が高まり企業全体のイメージアップが期待できます。品質管理を行う際はKPIによる客観的な評価を実施し、継続的に行うことが大切です。高品質なサポートを安定的に提供することが、顧客満足度の向上にも繋がります。
品質管理に関するノウハウがない場合や適切な人材がいない場合は、アウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。「NTTネクシア」では現状の品質を把握し、改善策を提案するサービスがあります。コールセンターの品質管理にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
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