コールセンターの応答率を上げる方法3選!応答率測定のポイントも徹底解説
電話のかかりやすさを示す応答率は、コールセンター運営において重要な指標です。「電話の応答率が低く、どう改善したらよいか分からない」とお悩みの方が、いらっしゃるのではないでしょうか。応答率が低い状態が続くと、クレームの発生原因となり、1件にかかる対応時間が伸びます。オペレーターの負担が大きくなるため士気が下がり、さらに応答率は下がる一方です。
そこで本記事では「応答率をあげる方法と測定ポイント」について解説します。応答率改善にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
コールセンターの応答率とは?
コールセンター運営においては、応対率が下がることにより、新規の受注を逃がしたり顧客満足度が下がったりします 。そのため、応答率が変わる時間帯や応答率低下の原因を分析し、適正な目標値と対策を検討することが重要です。
応答率とは
コールセンター運営において応答率とは、電話のつながりやすさを示す指標です。場合によっては、放棄率を使ってつながりやすさを管理するセンターもあります。応答率は高いに越したことはありません。
しかし、応答率が100%の状態が続いているケースでは、オペレーターが多すぎる可能性があります。そのため、人件費とのバランスを加味した適正値を設定するのがおすすめです。また応答率は「高いか低いか」だけを見るのではなく「変化する時間」や「低下の原因」を分析した上で対処法を策定すると良いでしょう。
応答率が下がることによる悪影響
応答率の低下は「新規の受注を逃す」「顧客満足度が下がる」という2つの悪影響があります。顧客が電話するときは「商品を買いたい」「質問したい」などの欲求があって電話するはずです。欲求が満たされない状態のまま電話がつながらないと企業への印象が悪くなるでしょう。
このように、必要なとき電話がつながらないと、顧客満足度は下がり続けます。顧客満足度が下がると、新規受注を逃がしたり、疑問が解消せず解約されたりと、商品・サービスにまで悪い影響があります。
コールセンターにおける応答率の計算方法
コールセンター運営において、顧客ファーストの観点から電話のつながりやすさを表す応答率は重要な指標です。応答率はただ高ければよいのではなく、費用対効果に合わせた目標値設定が重要です。
正確な応答率を算出するためには、取得タイミングや例外ケースなど、取得タイミングを決めておくとより正確な応答率が算出できます。
応答率の計算方法
コールセンター運営におけるつながりやすさを示す応答率・放棄率の計算方法は、以下のとおりです。
- 応答率(%)=対応件数/着信件数×100
- 放棄率(%)=放棄件数/着信件数×100
顧客からは「電話はつながるのが当然」という意識があるため、応答率が重視される傾向にあります。例えば、コールセンターの人数が数百人規模の場合、応答率を1%アップさせるにはオペレーターを1名新規採用しなければならないと言われています。
応答率はただ高ければよいわけではありません。人件費とのバランスに合わせて適正値を設定し、その数値へ近づけるように人員調整しましょう。
正確な応答率を出すポイント
応答率は、コールセンターの応答時間中、常に取得するのが望ましいですが、リアルタイムの取得が難しい場合は毎時・毎日・曜日ごとなど、取得ルールを決めて測定しましょう。取得時間の他に、やりとりの途中で電話が切れて先方からもう一度電話がかかってきた場合や、間違い電話などの「例外ケースは着信対象とするか」などの基準を設定します。適切なルール設定ができると、精度の高い応答率が算出できます。
応答率により現状分析と改善策の検討ができるので、算出方法には注意しましょう。
コールセンターの適正応答率は80%以上
コールセンターの運営状況は、応答率により判断できます。
応答率別コールセンターの運営状況
応答率 | 状況 |
---|---|
95%以上 |
・受電数が増える朝・昼など、ピークタイムに多少取りこぼしがあるものの、ほぼ100%を保っている状態 ・事故・盗難など、急を要する窓口は95%以上を目標値とする ・ピークタイム以外は半数近くのオペレーターが何もしない状態が続く ・応答率の測定体制を整え、人員整備を強化する ・余剰人員を出さずに95%以上を維持することが課題となる |
90%以上 | ・人件費・顧客対応のバランスが適切とされ、日本企業の多くが設定している目標値 ・受電数が増える朝・昼など、ピークタイムに取りこぼしがありながらも全体的に電話がつながる状態 ・オペレーター確保・社内教育・応答率など各種KPIを継続的に分析しなければすぐに90%を下回る可能性がある ・受付体制が整っていなければ、90%以上を維持するのは難しい |
80〜89% | ・「電話がつながりにくい」とクレームが出始める ・オペレーターがそろっていれば80%以上の維持は可能 ・オペレーター不足・スキル不足・コールセンターの運営方法、いずれかによる場合が多いため、原因分析の上で適切な対処が必要 ・人件費を最小に抑えたい場合はこの水準を許容とする場合がある |
50〜79% | ・業務が回っていない状態で明らかに人員不足の状態 ・新しいコールセンター、1件当たりの応対時間が長いときに起こる ・電話がつながるまでに10分以上待たされることが日常的で、顧客の不満が募り満足度の低下を招いている ・改善策をとらなければ、自然に応答率が下がり続ける ・至急改善が必要 |
50%未満 | ・電話がつながるとクレームから始まり、1件の対応時間が長くなる ・センター内でも諦めムードになり、より応答率が下がり続ける ・オペレーターの負荷が高く、疲弊した状態が続く ・オペレーターだけでは対応しきれず、管理者がたびたび対応する状況になる |
応答率は、顧客にとっては常に100%の状態が望ましいです。しかし、コールセンターの運営面から考えると、常に100%の場合は余剰人員が出ている可能性があります。日本企業では、80~90%を目安にするセンターが多いです。業態によって求められる応答率は異なるので、上記の一覧を参考に目標値を設定してみてください。
コールセンターの応答率を改善する方法3選
応答率を向上させるには、主に3つの方法があります。具体的には、以下のとおりです。
- 人員体制の見直し
- 業務の見直し
- システム化の推進
人員体制の見直しによりオペレーターを増やす場合は、単純に人を増やすのではなく、適切に対応できるオペレーターを増やす点がポイントです。業務の見直し・システム化の推進は、時間・費用がかかりますが、応答率改善に加えて対応品質の向上など相乗効果が期待できるので、特におすすめの方法です。
人員体制の見直し
人員体制の見直しには、シフトを調整してコール数に応じた人員配置を行う方法と、オペレーターを新たに採用する2つの方法があります。
ここで重要なのは「単純に人を増やすだけでは効果がない」ことです。単純に人を増やす方法では、人件費があがるのみで、安定したコールセンター運営に支障をきたします。また、増やす人員についても教育を受けたオペレーターでなければ、1回の対応に時間がかかってしまい応答率が向上しません。
曜日や時間別に応答率を算出した上で、適切なオペレーター数を設定することが重要です。コール数に応じて十分な対応ができる人員を配置することで、適正な応答率に近づけられるでしょう。
業務の見直し
コールセンターの業務全体を見直し、オペレーターごとの対応時間を短くすることで応答率が改善します。具体的な見直し例は、以下のとおりです。
- オペレーター向けFAQの充実
- トークスクリプトの見直し
- コールセンターの受付時間を延長
- 自動応答機能の実装
オペレーターのFAQやトークスクリプトはオペレーターのスキルアップにつながり、応答率改善が期待できます。一方、つながりやすい時間帯のアナウンス・対応可能時間の延長・自動応答機能は、オペレーターのコール数自体を減らす効果があるため、劇的な変化が出る方法です。
業務の見直しは、応答率があがるとともに「対応品質の向上」という相乗効果も期待できます。
システム化の推進
システム化により人手を介さず対応できる件数が増えると、結果的に応対品質の改善につながります。システム化の例は、以下のとおりです。
- オペレーター状況管理システム
- 自動発信システム
- 着信内容振り分けシステム
- AIによる自動応答システム
- 応答内容からキーワードを抽出し、関連資料を表示するシステム
システム化には、さまざまな種類があり、オペレーターの業務スピードを上げることで応答率改善を目指すものと、人手を介さず電話対応することでコール数を減らす目的があります。システム導入には時間と費用がかかるので、応答率の分析結果に応じて優先順位を決めて導入しましょう。
また、AIによる自動応答システムの導入は、応答時間の短縮や応答品質の維持などが期待できるためおすすめです。
コールセンターで応答率以外に見るべき対応品質のデータ
コールセンターでは、応答率の他に「サービスレベル(SL)」「平均応答速度(ASA)」を算出しています。
SLは、対応品質の指標として取得するデータで、計算式は「設定時間内の応答件数÷着信件数×100」です。測定は毎時・曜日ごとなど状況別に行い、設定時間を20秒、SLの目標値を80%とした場合、着信数に対し80%の件数を20秒以内に応答できれば合格となります。
ASAは、着信後オペレーターがどれだけ早く応答できたかを表し、数値=待ち時間とされています。計算式は「合計応答時間÷着信件数」です。着信件数が1000件で合計応答時間が25,000秒の場合、ASAは25秒と表し、目標値を10秒とするセンターが多いです。
応答率が低いと、SLは下がってASAは高くなる傾向にあります。応答率を分析しただけでは「顧客をどの程度待たせているか」の正確な判断はできません。SL・ASAを合わせて分析することで「顧客を待たせている状況」が把握できるので、同時に管理しましょう。
コールセンターの応答率を改善するなら「NTTネクシア」
応答率の改善は、測定・分析から人員体制整備・業務効率化・システム化の推進による改善策の実施など、莫大な時間・費用が発生します。そこでおすすめなのが「コールセンターの外部委託」です。「NTTネクシア」では、「AI自動音声応答システム」の導入や経験豊富なオペレーターによる人員体制の整備など、応答率改善へ向けた複数の施策に対応しています。
また応答率を測定の上で分析し、改善へ向けたコンサルティングも行っているので、より早く効果的な改善が見込めます。応答率改善はコールセンター運営において急務です。「電話がつながりにくい」と悩む必要がなく、安定したコールセンター運営のために「NTTネクシア」への委託を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
コールセンターの応答率は、対応品質の指標として重要なデータです。応答率は「対応件数÷着信件数×100」で算出し、日本のコールセンターは目標値を80~90%とするケースが多いです。ただし、応答率を盲目的に高めれば良いわけではなく、人件費も考慮して適切な目標を設定しましょう。
応答率を改善するためには、3つの観点から業務改善を行います。
- 人員体制の見直し
- 業務の見直し
- システム化の推進
応答率と合わせて、対応品質の指標として「サービスレベル」「平均応答速度」を合わせて分析することで「どれだけ顧客を待たせているか」を算出すると、より詳細に現状が把握できます。より早く安く確実に応対率を改善したい場合は外部委託を検討し、応答率改善を実現しましょう。
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