コールセンターを外注するメリット・デメリット【失敗しない委託先の選び方も紹介】
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「企業の顔」とも呼ばれるコールセンターですが、コスト面や人材不足により外注を検討する企業も少なくありません。コールセンターをアウトソーシングすることで、設備代や人件費などのコストカットや、優秀な人材の確保などさまざまなメリットが得られます。
しかし、特殊な問い合わせに対応するのが難しいことや、情報漏えいのリスクなどデメリットもあるため注意が必要です。今回の記事では、コールセンター外注によるメリット・デメリットと、委託先選びのチェックポイントについて詳しく解説します。コールセンターの外注を検討している方や委託先選びでお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
コールセンターのアウトソーシングとは
コールセンターのアウトソーシングとは、顧客対応などのコールセンター業務を外部の専門業者に委託することです。これにより、業務効率化やコスト削減、迅速かつ高品質な顧客対応が期待できます。
近年では、電話対応に特化したコールセンターに限らず、メールやチャット、SNSなど複数のチャネルを統合的に運用する「コンタクトセンター」の委託も注目されています。
コンタクトセンターについては、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください。
コールセンターのアウトソーシング方法
コールセンターのアウトソーシングには、大きく分けて2つの方法があります。1つ目は派遣会社を利用する方法で、必要なオペレーターを一定期間派遣してもらい、自社内でコールセンター業務を運営します。2つ目は、専門のアウトソーシング企業に委託する方法です。この場合、運営そのものを外部に任せるため、効率的な運用が期待できます。
なお、アウトソーシング企業では、「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」というサービス名でコールセンター業務を包括的にサポートする場合もあります。これは単なる電話対応にとどまらず、顧客データの管理や分析、複数チャネルを活用した応対など、業務プロセスそのものを委託することが特徴です。
BPOサービスの詳細は、以下の記事をご覧ください。
BPOとは?対象業務やメリット、選定ポイントを解説!アウトソーシングとの違いも
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外注できるコールセンター業務
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コールセンター業務には、主に以下の2つの種類があります。
- インバウンド業務
- アウトバウンド業務
コールセンターの受託業者によって得意分野や料金形態が異なるため、まずは、自社が委託したい業務内容を整理してみましょう。
インバウンド業務
インバウンド業務とは、顧客からの問い合わせに対応する業務を指します。具体的には、以下のようなものがあります。
- 企業に関する問い合わせ対応
- テレビショッピングなどの商品受注処理
- 商品に関する問い合わせ対応
- サービス利用に関する問い合わせ対応
- 不具合による修理の受付
- クレーム対応
自社商品やサービスに関する問い合わせからクレーム対応まで、コールセンターのインバウンド業務は多岐にわたるのが特徴です。そのため、オペレーターには幅広い知識や柔軟な対応力が求められます。
また、対応するコール数やオペレーター数などにより費用が変動します。事前に入電数や問い合わせ内容など、各数値と項目を分析して、コストと品質のバランスを考慮しながら委託業者を選ぶと良いでしょう。
アウトバウンド業務
アウトバウンド業務とは、企業が顧客に架電を行う業務を指します。電話による営業活動が主な目的となり、主な業務には以下のようなものがあります。
- 新商品や新サービス・キャンペーン案内
- 商品やサービスに関するアンケート調査
- 休眠顧客へのアプローチ
- 新規顧客獲得のための営業活動
- 市場調査
アウトバウンド業務はマーケティングを目的に行われるため、企業の売上に直結するといえます。しかし、顧客がセールスを求めているとは限らないため、電話に出てもらえない場合や断られるケースも少なくありません。そのため、委託先には高い営業スキルをもつオペレーターがいると安心でしょう。また、委託する業務範囲や予算などを十分検討し、ターゲットに適した戦略を実行できる専門業者を選ぶことが大切です。
コールセンターのアウトソーシングが増加している理由
コールセンターのアウトソーシングは、企業の課題解決や業務効率化の手段として期待されており、2020年度の市場規模は1兆421億円、2021年度には1兆1,259億円を記録しました。近年のコールセンターは、電話だけでなくメールやチャット、SNSなど多様なチャネルの活用が求められており、専門性の高さからアウトソーシングが増加していると考えられます。
また、人手不足やコスト削減のニーズも、アウトソーシングを後押しする要因の一つです。働き方改革や少子高齢化による労働人口減少により、コールセンター業界では人材の確保が難しくなっています。一方で、外部委託を活用すれば採用や育成の負担を軽減でき、専門スキルをもつオペレーターによる質の高い顧客対応が期待できます。
コールセンターの市場規模や関連情報については、以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
【2024年最新】コールセンター業界が抱える3つの課題と解決策【市場規模やシステムも紹介】
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コールセンターを外注するメリット5選
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コールセンターの外注を検討する際「どのようなメリットがあるのか」と気になる方は多いのではないでしょうか。ここでは、コールセンターの外注で得られる5つのメリットを紹介します。
応対品質や顧客満足度(CX)の向上
コールセンター業務を専門業者に外注することで、応対品質と顧客満足度(CX)の向上が期待できます。外部業者には、顧客対応のプロフェッショナルが在籍し、充実したトレーニングや最新のシステムを活用しているため、迅速で的確な対応が可能です。
また、自社では対応が難しい高度な問い合わせやクレーム処理も、専門業者のノウハウを活用して、顧客との信頼関係の強化が期待できます。
生産性の向上
コールセンター業務を外注することで、企業全体の生産性向上が図れます。外注先に顧客対応を任せる代わりに、製品開発や戦略立案といった付加価値の高い業務に集中できるようになります。
また、専門業者は最新のシステムや効率的なツールを導入しており、業務プロセスの最適化や対応スピードの向上も期待できるでしょう。限られたリソースを有効活用できることが、外注の大きなメリットといえます。
コールセンターの立ち上げ費用の削減
コールセンターを自社で内製する場合、専用機器の購入やシステム構築が必要となり、多額の初期費用が発生します。規模によって費用は異なりますが、おおよそ20〜300万円程度が目安です。
また、オペレーターの採用や育成には人件費もかかり、人材確保については、オペレーター職の採用が困難になっていることから、継続的な採用費が必要になる可能性があります。さらに、オペレーターを教育するための管理者(SV:スーパーバイザー)の確保には、通常のオペレーターよりも高額な人件費が必要です。
コールセンターを外注すれば、必要なリソースやノウハウは専門業者から提供してもらえるため、これらの採用や教育を含めたコールセンターの立ち上げ費用を抑えられるでしょう。
優秀なオペレーターの確保
コールセンターの運営では、顧客対応の質が非常に重要視されるため、優秀なオペレーターの確保が欠かせません。しかし、近年では労働人口の減少により、オペレーター職の採用が難しくなっています。また、採用できたとしても質の高い顧客対応を行えるよう育成するには、SVによる教育が欠かせません。
一方で、コールセンターの受託業者には豊富な経験と高いスキルをもつオペレーターが揃っており、応対品質の向上が期待できます。コールセンターの品質改善につながる高品質なサービスやサポートを受けられるのは、外注の大きなメリットでしょう。
コールセンター立ち上げ期間の短縮
コールセンターを内製で立ち上げる場合、以下のような手順で行われます。
- 目的やゴールの設定
- 現状調査と課題の明確化
- 業務設計
- マネジメント設計
- システム構築と機器導入
- マニュアル作成
- 人材確保と教育
すべての手順を社内で実施するには時間と手間がかかるため、運用開始までに長期間を要する場合があります。しかし、コールセンターを外注すれば受託業者のスタッフやノウハウが利用できるため、短期間での導入が可能です。
コールセンターを外注するデメリット3選
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コールセンターの外注には、初期費用の削減や導入期間の短縮などのメリットがある一方、デメリットも存在します。リスクを事前に把握して対策を講じるためにも、確認しておきましょう。
情報漏洩のリスクがある
コールセンターを外注すると委託先のオペレーターが顧客情報を取り扱うため、情報漏えいのリスクが生じます。そのため、委託先を検討する際は、セキュリティ対策が徹底されているかを確認することが大事です。
たとえば、プライバシーマークの取得や厳格な情報管理体制をもつ専門業者を選ぶとよいでしょう。その点、NTTネクシアでは、コンタクトセンターの採用および研修業務において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際標準規格を認証取得しています。これにより、顧客情報を安全に管理する体制を整えているため安心です。
自社にノウハウが蓄積されない
コールセンターを外注した場合、人材確保や設備導入は不要となる一方、ノウハウが社内に蓄積されにくいデメリットがあります。将来的にコールセンターを内製したいと考えている場合は、業務設計やマニュアルの共有が可能か、アウトソーシングを行う前に確認しましょう。
また、コールセンターは顧客の声を収集し、商品開発やサービス改善につなげる重要な部署でもあります。しかし、これらの貴重なデータを効果的に活用するには、外注先と十分に連携しなければなりません。コールセンターを外注する際は、問い合わせ内容や顧客意見の共有方法について、事前に協議しておくことをおすすめします。
特殊な問い合わせに対応できない
コールセンターの受託業者は電話応対のプロですが、自社商品やサービスに関する専門知識を保有していない場合が多いでしょう。そのため、顧客からの特殊な問い合わせに対応できなかったり、対応が遅れたりする可能性があります。
NTTネクシアでは、民間企業や金融機関、官公庁など専門性の高い案件に対応した実績があります。必要に応じて柔軟な対応が可能なため、顧客満足度の確保が期待できます。
コールセンターの外注先を選ぶ際にチェックすべき5つのポイント
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コールセンターの委託先を検討する際、以下の5つのポイントをチェックすることが大切です。
- コスト
- 情報セキュリティ対策
- 実績と信頼性
- 応対品質
- 情報共有
コールセンターを外注する目的は、コスト削減や品質改善など企業ごとに異なります。委託先の選定時には、自社が重視したいポイントに合致しているかを判断しましょう。
コスト
コールセンター立ち上げには、設備投資や人件費など多額の初期費用がかかるため、外注によりコスト削減を期待する企業は多いでしょう。コールセンター業務の外注費用は、設定したコール数までは同じ料金で対応する「月額固定型」と、受電数に応じて料金が変動する「従量課金型」があります。
また、月額基本料のほかに初期費用が発生する場合もあるため、複数の専門業者から見積もりを取って料金プランを比較しましょう。依頼したい内容と予算を照らし合わせ、費用対効果を確認しておくことが大切です。
情報セキュリティ対策
コールセンターでは、顧客情報や商品・サービスに関する重要データなどを扱うため、外注に伴う情報漏えいのリスクを最小限に抑えることが重要です。とくにクレジットカードや金融機関の情報が含まれる場合、情報が漏えいした際に損害賠償の責任が発生します。
委託先の情報セキュリティ対策については、プライバシーマーク取得の有無など、高い情報セキュリティ基準の整備が行われているかをしっかりチェックしておきましょう。
実績と信頼性
実績のある委託先なら、豊富な経験と蓄積されたノウハウで高品質なサービス提供が期待できます。過去の導入事例を確認し、自社の依頼したい内容に近い業務を受託した経験があるかをチェックするとよいでしょう。また、企業規模や業種による違いにも注目し、適切なノウハウをもつ専門業者を選ぶのも大切です。
さらに、オペレーターの声などを参考にしてみるのもよいかもしれません。オペレーターの研修制度や対応力を確認し、信頼できる体制が整っているかどうかは重要なポイントです。
応対品質
コールセンターにおける応対品質は顧客満足度に大きく影響するため、委託先のオペレーターが自社の基準に達しているか確認が必要です。加えて、オペレーター数やフォローの内容など、高品質な応対を実現できる体制が整っているか確認することも重要です。
情報共有
顧客に適切な対応を行うためには、企業と委託先の連携は欠かせません。コールセンターで得られる情報は商品開発やサービス改善につながる可能性があるため、スムーズに企業へ共有されないとビジネスチャンスを逃すことになります。
委託先選定の際は、どのように情報を管理し、共有する仕組みをもっているかを確認しましょう。また、自社との定期的な報告会や専用ツールを活用した情報伝達が可能かどうかもチェックできると安心といえます。
コールセンターの立ち上げ手順
コールセンターを効率的に立ち上げるために、基本的な手順の一例をご紹介します。
-
目標設定
コールセンターを立ち上げる目的や達成したいゴールを明確にしましょう。顧客満足度向上やコスト削減、売上向上など、目的を具体的に設定することで、その後の業務設計がスムーズになります。 -
現状分析
自社の現状を分析し、コールセンター運営における課題を洗い出しましょう。既存の顧客対応方法や問い合わせ内容を確認し、改善点を把握することが大切です。 -
全体設計
業務フローや必要な人材、使用するシステムなどを含むコールセンター全体の設計を行いましょう。この段階で運用計画を具体化することで、立ち上げ後のトラブル防止につながります。 -
システム構築とマニュアル作成
コールセンター運営に必要なシステムの構築を行い、オペレーターが使用するマニュアルを作成しましょう。顧客対応の一貫性を確保するために、わかりやすいマニュアルが必要です。 -
人材確保と教育
オペレーターや管理者となるSVの採用・教育を行いましょう。採用段階から必要なスキルや知識を明確にしておくと、適切な人材を確保しやすくなります。
これらの手順を実行するには時間と労力を伴うため、外部の専門業者に委託して効率化する方法もあります。さらに詳しいプロセスについては、以下の記事をご覧ください。
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コールセンターの外注では、コスト削減や優秀なオペレーターの確保といった多くのメリットが期待できます。外注のメリット・デメリットを十分に理解し、自社の目的に沿ってアウトソーシング先を選定しましょう。
コールセンターの委託先を検討する場合は、情報セキュリティ対策や業務ノウハウ、信頼性などの観点で比較検討するのがおすすめです。「NTTネクシア」では現状調査を行ったうえで企業課題を明確にし、適切なコールセンター設計をご提案します。顧客情報の管理や品質向上のサポート体制も整っているため、初めて外注を検討する企業にも安心してご利用いただけます。コールセンターの外注に不安を抱えている方は、企業に寄り添ったサービスを提供する「NTTネクシア」へお気軽にご相談ください。
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