【完全版】リコール対応の手順6ステップ!リスクを最小限に抑えるポイントを解説
リコール対応の遅れは、被害を拡大させる可能性が高まり企業の信頼を失墜させる要因になります。万が一に備えて、適切な対応ができる体制を整えておくことが大切です。しかし、実際にリコールが発生した際に「どのように対応したらよいかわからない」という担当者もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、経済産業省が定めるリコールハンドブックをもとに適切な対応手順を解説します。リスクを可能な限り抑えるポイントがわかる内容となっていますので、リコール対応でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
リコールについて概要を解説
この章では「どのような基準でリコールが実施されるか」や具体的な内容について解説します。リコール発生時に適切な対応ができるよう、制度を正しく理解しておきましょう。
リコールとは
リコールとは、生産・販売された製品に欠陥があると判明した場合に、無償修理や交換などの措置をおこなうことです。リコール実施の決定は、法令の規定もしくは製造業者などの判断でおこないます。法律上横断的なリコールの定義はなく、製品ごとにルールや実施内容が異なります。
そのため、各メーカー・事業所ごとの判断基準が必要です。リコール実施判断基準は、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 事故原因が製品・商品の不具合や欠陥によるものか
- 人体への被害があるか
- 多発・拡大の可能性があるか
判断が遅れてしまうと重大事故につながる可能性が高まり、社会的信用を失いかねません。そのため、不具合や欠陥に気づいた際は迅速な判断が求められます。消費者に製品・商品を提供する企業・メーカーは、不測の事態に備え体制を整えておくことが大切です。
製品ごとのリコール制度
リコールは、各製品の安全基準に沿って実施されます。主要なリコール制度は、以下のとおりです。
- 自動車:「道路運送車両法」に定められており国土交通省が所管
- 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器:「医薬品医療機器等法」に定められており厚生労働省が所管
- 食品、天然香料、添加物、食器等の器具:「食品衛生法」に規定されており厚生労働省が所管
- ガス用品:「ガス事業法」に定められており経済産業省が所管
- 電気用品:「電気用品安全法」に定められており経済産業省が所管
- 消費生活用製品:「消費生活用製品安全法」に定められている
適切に対処しなければ業務停止につながる重大事案に発展する危険性があるため、自社製品が該当する規定や管轄を正しく把握しておかなければなりません。リコールが発生した際は、迅速で適切な対処ができるよう備えておきましょう。
リコール対応発生時の2つのリスク
リコール対応が発生した際、企業やメーカーは「金銭的リスク」と「社会的リスク」を負います。企業・メーカーにおよぼす影響を、詳しく見ていきましょう。
金銭的リスク
製品の回収や修理にかかる費用は、すべて販売したメーカー・企業が負担することになります。リコールにかかる主な費用には、以下のようなものがあります。
- 原因究明費用
- 代替製品手配費用
- 回収費用
- 広報対策費用
- 問い合わせ対応費用
1つの製品でリコールが発生すると、直接的な費用だけでも企業にかかる負担は非常に大きいです。また、リコールは今後の機会損失が予想されます。そのためリコールに関する費用だけにとどまらず、収益減少による金銭的なダメージは大きくなるでしょう。
一般的に製造・販売したメーカーや企業がリコールをおこないますが、部品に問題があった場合はサプライヤーの責任も問われます。部品に関する費用はもちろんですが、場合によってはメーカー側から損害賠償請求される可能性があることも想定しておきましょう。
社会的リスク
製品の不具合や欠陥が見つかった場合、品質や安全性に問題があるとして消費者からの評価は落ちるでしょう。ブランドイメージの低下や信用失墜など、経営に影響をおよぼす社会的リスクが高まります。これは製品を製造したメーカーだけでなく、部品提供をおこなったサプライヤーなどすべての事業所にいえることです。
またリコール対応に遅れが生じ、重大な事故が発生し死亡または重傷者を出した場合は刑事上の責任を問われます。そのような事態になった場合は、顧客離れはもちろんのこと株価急落など事業継続が危ぶまれる状況にもなりかねません。そのためリコール対応は、企業の存亡を左右する重要な業務といえます。
リコール対応の手順6ステップ
リコールを実施する際は、消費者に危害がおよばないよう速やかな対処が必要です。リコール対応をおこなう際の手順を、6つのステップで解説します。
- 事実確認とリコール実施の判断
- 対策本部の設置
- リコール方針の決定
- 顧客への告知方法の検討
- 関係各所への情報共有
- リコール実施と評価
経済産業省が定めるリコールハンドブックをもとに手順を説明しますので、リコール対応に不安のある方はぜひ参考にしてみてください。
1.事実確認とリコール実施の判断
事故の発生または予兆を発見した際は、事実関係の把握や内容の整理をおこないましょう。事故の状況を整理し、多発や拡大の可能性を検討します。事実確認をおこなう際は、以下の情報を集めるとよいでしょう。
- 製品の識別情報(型式・製造番号など)
- 製品の所有者情報(氏名・住所など)
- 事故発生の日時や場所
- 被害の程度(人的・物的被害の有無と程度など)
- 被害状況の写真や動画
これらの情報をもとに、以下の点を鑑みてリコール実施の判断をおこないます。
- 被害の質・重大性
- 事故の内容
- 事故原因
リコール実施の判断は、人的被害や多発・拡大性の有無が大きくかかわります。また製品の不具合や欠陥だけでなく、消費者の誤使用・経年劣化などによる場合もあるため正しい事故原因の究明が必要です。
2.対策本部の設置
リコール対応は全社的におこなう必要があるため、対策本部を設置しましょう。対策本部を設置する際は、経営者を筆頭に各部署の代表者を招集するのが望ましいです。しかし、企業によっては代表者を選出するのが難しい場合もあるでしょう。その際は、経営責任者が統括しリコール対応にあたります。
各部署の代表者を選出し対策本部を設置する場合は、部門を統括する人材を招集するとよいでしょう。対策本部での決定事項を各部署に共有し、役割分担をおこなってリコール対応にあたります。どちらの場合でも、迅速かつ的確なリコール対応を実施できる体制を整えることが大切です。
3.リコール方針の決定
対策本部を設置後、招集されたメンバーでリコールの方針を決定します。リコール方針を決定する際は、以下の6点を決めましょう。
- リコールの目的
- リコール方法の種類
- リコール対象数と対象者の特定
- リコール実施率の目標設定と実施期間の検討
- 販売や流通事業者などへ情報提供及び協力の依頼
- リコール実施に必要な経営資源の検討
迅速で的確なリコール対応をおこなうためにも、方針を決める際は具体的な方法を立案しましょう。事故を未然に防ぐことと、再発防止がリコールの大きな目的です。すべてのリコール製品を速やかに回収し、修理・交換をしなければなりません。そのために関係各所へ情報提供をおこない協力を依頼することで、素早いリコール対応が期待できます。
4.顧客への告知方法の検討
リコール方針が決定したら、対象者への告知方法を検討します。企業が対象者の情報を持っているかで、告知方法が変わります。
顧客情報がわかる場合
- ダイレクトメール
- 電子メール
- 電話
顧客情報がわからない場合
- ホームページへの掲載
- パブリックスペースへの掲示
- 報道機関へ発表する
企業が対象者を把握している場合は、直接連絡を取ることができます。しかし顧客情報がわからない場合は、広範囲に周知しなければなりません。そのため、対象顧客に確認してもらえる媒体を特定することが大切です。
5.関係各所への情報共有
リコール対応への体制が整ったら、関係各所へ情報共有をおこないましょう。主な共有相手は、以下のとおりです。
- 自社の全従業員
- 取引先
- 弁護士または法律の専門家
- 保険会社
- 業界全体
リコールは、対象製品をすべて修理・交換するまで継続的な対応が求められます。そのため自社の全従業員はもちろんのこと、各所へ情報共有をおこない協力を求めることが必要です。
6.リコールの実施と評価
社内の体制整備と関係各所への共有など準備が整ったら、策定したプランに沿ってリコールを実施します。リコールを実施する際に大切なのは、正確な情報をスピーディーに消費者へ届けることです。正しく消費者に情報が届けられていなければ、対象製品のリコールが適切に実施できません。そのため実施状況の継続的監視・評価 (モニタリング)をおこない、リコール方法の妥当性や活動の見直しをおこなうことが大切です。
リコール対応の3つのポイント
リコール発生時のリスクを最小限にするために、企業は最善を尽くす必要があります。ここでは、リコール対応をおこなう際に押さえておくべき3つのポイントを紹介します。
迅速な対応窓口の設置
リコールが発生するということは、少なからず消費者に負担や不便を与えてしまいます。消費者の不満や不安を軽減するためにも、正確な情報提供は欠かせません。不具合・欠陥による影響や回収に関することなど、消費者が知りたい情報を提供できる体制を整えましょう。迅速に対応窓口を設置し、顧客からの問い合わせに備えることが大切です。
丁寧な顧客対応
リコールをおこなう際は対象商品を一定期間お預かりする必要があるため、お客さまに快く協力していただかなくてはなりません。そのためリコール対応時は、平時以上に丁寧な顧客対応が求められます。たとえば、商品の不具合など指摘があった時点で「回収用の梱包資材などを持参し対象品を引き取る」などです。伝え方や言葉選びに注意し、顧客がリコールに対して納得できる説明と対応を取ることが大切です。
スムーズなリコール品回収
リコール対象となった製品は、欠陥や不具合が生じているため事故を起こす可能性があります。そのため対象者に速やかにリコール情報を届け、迅速に対象製品を回収しなければなりません。また、回収方法や日程を正確に伝えておかなければ顧客は不安を抱きます。企業側は日程や方法を明確に提示し、スムーズに回収することが大切です。配送業者と連携を取り、顧客への負担を軽減できる体制を整えておくとよいでしょう。
スピーディーで適切なリコール対応をおこない顧客からの信頼回復をめざしましょう
リコールの発生は、回収や修理に関する金銭的なリスクに加え、ブランドイメージ低下による顧客離れなど社会的リスクを負っています。社会的リスクは今後の事業運営や収益に影響するため、迅速で丁寧な対応をおこない、ダメージを最小限に抑えることが求められます。
NTTネクシアではリコールやお詫びなど、緊急対応に必要な問い合わせ窓口の設置やお客さまへの告知などに迅速に対処できるコールセンター運営が可能です。緊急事態が発生した際は、いち早く情報を集め問い合わせや苦情に備えます。また、反響に応じて席数増減も可能なので、企業さまに合わせたサービスを提供できます。リコール対応でお困りの企業さまは、ぜひ「NTTネクシア」へご相談ください。
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