【これで解決】コールセンターを立ち上げる5つのプロセス!内製の3つの課題も解説
コールセンターは、顧客と会社の接点となる部署です。そのため、会社のイメージに大きく影響するだけでなく、顧客の声(不満、要望など)を直接聞けます。顧客の声は、「顧客満足度の維持向上」「自社サービスの改善」などに利用できるため、近年幅広い業界からコールセンターが注目されています。
こうした背景から、低コストかつ応対品質の高いコールセンターを立ち上げたい方が、多いのではないでしょうか。 そこで今回の記事では、コールセンターの立ち上げ方法や具体的な手順について解説します。コールセンターの立ち上げに必要な時間や費用だけでなく、顧客対応に重要な人材についても理解できる内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
コールセンターを立ち上げる2つの方法
コールセンターを立ち上げる方法は、内製と外注の2つです。それぞれにメリットデメリットがあり、会社や対象業務によってどちらが適しているかが異なります。立ち上げ前に、内製と外注の特徴を知っておくことで、低コストかつ応対品質の高いコールセンターを実現できるでしょう。
内製
内製とは、自社内のリソースでコールセンターを構築し運用することです。toB向けなど問い合わせ数が少ない場合は、おすすめの立ち上げ方法です。
メリット |
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デメリット |
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費用項目 |
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稼働までに必要な時間 | 企画から環境整備まで行うため時間がかかる |
外注
外注とは、コールセンターの立ち上げや運用を外部に依頼することです。顧客対応を専門とする人材の派遣や、顧客対応以外(営業など)の業務支援もしてくれます。toC向けなど問い合わせ数が多い場合や、予算に余裕がない場合は、おすすめの立ち上げ方法です。
外部の事業者によっては低コストかつ、時代に即した顧客対応を提供しているため、内製を選択肢に入れている会社にもおすすめです。
メリット |
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デメリット |
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費用項目 |
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稼働までに必要な時間 | 通常数か月。1~2週間で稼働可能な場合もある。 |
自社にあった立ち上げ方法は以下の資料でも、フローチャート式でわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【内製】コールセンターを立ち上げる5つのプロセス
コールセンターを内製で立ち上げる場合、企画立案や業務環境の整備など、さまざまなステップがあります。内製でコールセンターを立ち上げるプロセスを知ることで、必要な費用や時間が具体的にイメージ可能です。
目標を設定する
コールセンターの立ち上げは、KGI(最終目標)とKPI(中間目標)の設定が重要です。KGIとKPIを決めることで、コールセンターに求める役割が明確になります。運用によって、何を達成したいかを明確にしましょう。ポイントは、先にKGIを設定し、KGIを分解する形でKPIを設定することです。
ひな形 | KGI=KPI×KPI |
---|---|
具体例 | 月間新規顧客10人=月間商談数20×成約率0.5 |
月間商談数20=月間テレアポ数40×商談率0.5 |
KGIやKPIを設定する際のポイントは、コールセンター業務を数値化することです。業務の数値化は、目標設定だけでなく業務評価や改善にも役立ちます。
目標 | 設定できる業務の例 |
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KGI |
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KPI |
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KGIとKPIの設定は、コールセンターの立ち上げだけでなく運用にも影響を及ぼすため重要です。目標が明確になっていないと、センター長からオペレーターまで意思統一ができず、対応トラブルやクレームの発生につながります。KGIとKPIの設定は、慎重に時間をかけて行いましょう。
現状を分析する
コールセンターの立ち上げによって既存の業務を改善する、あるいは業績を上げるためには、現状分析による課題の発見が必要です。KPIを決める段階で数値化した業務を中心に、現状分析をしましょう。
今まで、総務部や営業部にどのくらい問い合わせが来ていたかなどを把握し「今後コールセンターで発生する顧客対応の規模」や「コア業務の改善」を予測しましょう。
予測から、KGIやKPIを達成するために必要なコールセンター規模がわかります。最低限必要なオペレーター数や、設備規模を想定しておきましょう。
全体設計を行う
全体設計では、実際に業務で必要となるシステムや業務プロセスなどを決定します。全体設計で、コールセンターの全体像が決まるため、慎重に検討しましょう。最低限決めるべき内容は、下記の5つです。
- 業務フロー(人事、顧客対応、雑務など)
- 緊急時の対応方法(クレーム、事故、情報漏えい、災害など)
- 管理体制(職務、指揮系統、組織図、連絡網、チーム設計など)
- 採用基準(人数や能力など)
- 人材育成(育成方法など)
上記の内容を決定したあとは、コールセンターの実装にかかる工数を計算しましょう。施設・設備の準備や人材の採用育成などにかかる時間が計算できれば、稼働までのスケジュールが大まかにわかります。
必要な機能を実装する
コールセンターの実装では、業務環境を整備し、またオペレーターやマネージャーを実務可能な段階まで育成する等します。実装に必要な項目は、以下のとおりです。
- 人材の採用と育成
- 施設の準備(社内スペースの確保、建設、賃貸など)
- インフラ(電話・インターネット回線、電気、水道など)整備
- 設備(デスク、椅子、電話、パソコン、コピー機など)の用意
- ツール(PBX、CRM、CTIなど)の用意
- 消耗品(コピー用紙、電球など)の購入
- マニュアル(社内規則、トークスクリプトなど)整備
この段階では、先に時間のかかる項目から着手し、同時進行で実装を進めましょう。ポイントは、人材の採用と育成から始めることです。育成には個人差があり、採用にどのくらい時間がかかるか予測がつきにくいため、最初に着手することをおすすめします。
コールセンターを稼働させる
コールセンターの立ち上げが完了し稼働をはじめたら、定期的に業績確認をおこない、業務プロセスの最適化を行いましょう。KGIやKPIの達成度合いを確認し、達成できていない項目は改善施策を行います。必要があればKGIやKPIを修正しましょう。
また、コールセンターは離職率の高い業界です。離職率を下げるために、長く働いてもらえるような業務環境を整備する必要があります。「テレワークへの対応」「福利厚生の充実」「カウンセラーの設置」などを行いましょう。
【外注】コールセンターを立ち上げるプロセス
外注する場合、最初にインハウスかアウトソーシングかを選びます。
- インハウス:設備や施設など、人材以外すべてを自社で用意
- アウトソーシング:設備、施設、人材すべてを外注先の事業者に依頼
インハウスを選んだ場合、センター長やマネージャーなどの管理者は自社で用意するか(人材派遣)、外注先の事業者に提供いただくか(業務委託)を選びます。アウトソーシングの場合は、外注先に管理者とオペレーターすべてを提供いただくことになります。
- 人材派遣:オペレーターのみ提供
- 業務委託:オペレーターと管理者すべてを提供
外注する範囲を決定したあとは問い合わせを行い、外注先の営業担当者が見積もりをもらい、申込みを行います。特殊な業界や複雑な問い合わせが発生しない会社であれば、契約後速やかな稼働が可能です。顧客対応に前提知識が必要な会社や複雑な問い合わせを想定している会社は、自社サービスについての情報提供や、マニュアル整備を行ってから稼働に入ります。
コールセンターに必要な人材
コールセンターには、顧客対応を担当するオペレーター以外に、チームやコールセンター全体の管理を行う人材が必須です。コールセンターに必要な人材を整理したものが下記の表です。また、オペレーターは、コールセンターの規模によって必要な人数が大きく変わります。
役職 | 役割 | 必要なスキル | 採用ポイント |
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オペレーター |
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リーダー |
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スーパーバイザー |
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マネージャー |
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責任者(センター長) |
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契約形態(アルバイトやパート、派遣、正社員)により、給与や求められる責任が大きく異なります。業務で取り扱う情報がデリケートな場合は派遣や正社員を採用しましょう。
コールセンターの立ち上げに必要な費用
コールセンター立ち上げ・運用に必要な費用は内製と外注の場合で大きく異なります。
内製の場合に必要な費用
コールセンターを内製で構築・運用する場合、一般的に外部委託よりも費用がかかることが特徴です。
コールセンターを内製で構築・運用する場合の費用の一例を紹介します。
費用項目 | 内容 | 相場 |
---|---|---|
初期費用 | システムや機器の購入、工事費用 | 30万〜250万円 |
人材の調達費用 | 20万〜40万円 | |
運用費用 | システム運用 | 4万円/月 |
人件費 | 時給1,000〜2,000円 | |
施設やインフラの維持費 | 3万〜70万円/月 | |
ライセンス | 4万円/月 |
コールセンターを内製で運用する場合、初期費用としてシステム構築費やオペレーターの採用と教育費用、さらにはコールセンターを専用施設で稼働させる場合は、建物自体の費用やインフラ設備費などが必要です。
また、コールセンターを構築し終えて運用を開始したあとも保守費用がかかり、中でも、コールセンターを内製で運用する場合の最大の費用項目は人件費です。
外注の場合に必要な費用
一般的に、コールセンター業務を外注すると、内製で運用する場合に比べて費用を抑えることができます。ただし、外注であってもサービス自体は安価なものではありません。
コールセンター業務を外注した場合の費用の一例を紹介します。
初期費用(構築済みシステムの外注) | 運用開始時に1回かかる費用 | 1万〜5万円 |
---|---|---|
運用費用 | 月額固定型 | 10万〜30万円/月 |
従量課金型 | 300〜1,000円(問い合わせ1件当たり) |
初期費用には、システム導入、インフラ整備、業務プロセスの現状分析、マニュアル作成やオペレーターの教育などが含まれます。
一方、運用費はコールセンターの稼働時間や委託する業務の範囲、料金体系で大きく変化します。運用料金が月額固定型と従量課金型の2種類あり、利用目的に合ったものを選択します。
自社に適した料金形態や、コールセンターの外注を低コストで実現するための要素を以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
コールセンターに必要な機能
コールセンターを内製で運用する場合、まずは運用前にシステムを構築しなければなりません。コールセンターのシステムを構築するツールには、以下のようなものがあります。
- CTI(電話とCRMを連携させるシステム)
- CRM(顧客情報や対応履歴などを蓄積し分析するシステム)
- FAQ(問い合わせに対する返答を補助する質問回答集)
- 通話録音装置(顧客対応を記録する)
- PBX(問い合わせを担当するオペレーターに振り分ける機能等を有する)
またインターネット環境の発展によって、SNSやメール、チャットを使うシステムが浸透しています。コンタクトセンターシステムに、そのような電話以外の企業と顧客とのやりとりがスムーズに行える連絡手段も用意し、オムニチャネル化させることによって、顧客の満足度アップや業務の効率化につながります。
自社に適したコンタクトセンターシステムについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
内製でコールセンターを立ち上げる際の3つの課題
コールセンターを内製で立ち上げる場合、時間や費用をかけても解決が難しい課題が3つあります。いずれも知っておかなければ、稼働を開始したあとにトラブルの原因となり、円滑にコールセンターを運用できなくなります。
人材の確保と育成が難しい
コールセンターは離職率が高い業界です。特に、職場の人間関係やクレーム対応から受けるストレスや業務の負担によって、早期退職者が多いことが問題になっています。人材育成には時間や費用が多くかかるため、早期退職率が高いと対応品質の向上ができないだけでなく、リソースの無駄が大きくなります。
応対品質の均一化が難しい
顧客対応は、業務経験の差が応対品質に大きく影響します。そのため、先輩と新人オペレーターの間で、応対品質に差が出てしまいます。 応対品質の均一化には、マニュアル整備やビジネスマナー統一のほかに、メンター(指導者)制度や研修の実施などが必要なため時間や費用がかかります。そのため、特にリソースに余裕がない中小企業では、応対品質の維持向上に注力することが難しい傾向にあります。
情報共有が難しい
専門性の高い業界(士業やコンサルティングなど)や、顧客対応が属人化しやすい問い合わせ(toBやtoGなど)の場合、顧客情報の共有や自社サービスへの深い理解が重要です。情報共有や自社サービスの理解が足りていないと、対応品質の維持向上ができないほか、顧客の声を収集・活用できません。
また、顧客対応で手一杯になっていると、他部門との連携に手が回らないでしょう。結果、顧客対応がスムーズに行えず顧客満足度の低下を引き起こすだけでなく、自社サービスの改善やセールスの機会を失ってしまいます。
コールセンターを立ち上げるなら「NTTネクシア」
NTTネクシアは長年培ってきた経験とノウハウから、独自の人材育成法『QTC育成プログラム』を構築し、質の高い顧客対応を行っています。また、テキストによる顧客対応にも注力しており、さまざまなチャネルに対応したコールセンターを提供しています。
さらにNTTネクシアは、独自のBPR手法『アセスメント』によって、会社ごとに最適なコールセンターの構築と業務効率化を行います。既存システムの問題点を把握して、業務プロセスの再設計から改善の実施や運用まで支援します。コールセンター運用費用の最適化から、人件費や設備・インフラの維持費などを削減可能です。
NTTネクシアは、質の高い顧客対応だけでなく、低コストでコールセンターを実現したい会社に寄り添ったサービスの提案を行っています。リソース不足でコールセンターの立ち上げにお悩みの方は、ぜひ一度NTTネクシアにご相談ください。
まとめ
コールセンターの立ち上げ方法は、内製と外注の2つがあります。内製とはコールセンターの企画、立ち上げ、運用を自社内のリソースで行うことです。一方で、外注とは、コールセンターの企画から運用まで幅広い業務を外部に依頼することを指します。内製の場合、ノウハウがないため、立ち上げ初期の対応品質は低くなります。加えて、立ち上げから稼働までに時間がかかり、初期費用が高くなります。一方で、外注は稼働までにかかる時間が短く、稼働初期から品質が高く安定した顧客対応を提供可能です。
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