【対策あり】人材不足がもたらす3つのリスク！業種別の現状と問題の対策を5つ紹介

現在、あらゆる業種・職種において人材不足が問題となっています。少子高齢化が進み労働人口減少が予想される日本において、人材不足はさらに加速すると考えられます。そのため、人材不足の原因とリスクを理解し適切な対策を実施することが必要です。

そこで今回の記事では、人材不足がもたらすリスクと問題の対策について解説します。具体的な解決策が理解できる内容となっていますので、自社の人材不足にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

少子高齢化

日本における生産年齢人口は、1995年をピークに年々減少し急速に少子高齢化が進んでいます。少子高齢化に伴い労働人口が減少し、さまざまな業種で人材不足が問題となっています。少子高齢化は依然として続いており、今後も労働人口の減少は人材不足を加速させるでしょう。

参照元：総務省｜令和4年版高齢社会白書（全体版）

採用のミスマッチ

採用のミスマッチは、人材確保における重要な課題です。採用のミスマッチが起こる原因には、以下のようなことが考えられます。

• 情報不足
• 受け入れ体制が整っていない
• 適性や能力を正しく判断できていない

求める人物像が不明確なことや応募者が企業方針・理念を理解できていないなど、働く上で必要な情報をお互い得られていないことが原因です。また人材育成に悩む企業の場合、新人教育や研修をおこなう体制が整っていないケースもあるでしょう。

受け入れ体制が整っていないと、採用時・入社後に適性や能力を正しく判断できず、適切な配置ができないことによりモチベーションの低下につながります。このような状況では、せっかく採用した人材の早期離職につながり人材不足は解消されません。

社会情勢の影響

近年は労働人口の減少により「売り手市場」が続いていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による時短営業や休業要請で需要が減ってしまったため、採用難が緩和されているように見えました。しかし、職業によって有効求人倍率に偏りが生じ、企業が求める人材と求職者が求めている仕事のバランスは崩れています。

専門的な知識やスキルを必要とする職種では、限られた人材を企業間で取り合う構図ができあがっています。そのような結果を踏まえると、人材不足が解消されたとはいえません。一部企業における人材不足は、一層深刻化しているのが現状です。

参照元：株式会社帝国データバンク｜＜速報＞人手不足に対する企業の動向調査（2022年9月）

職場環境の悪化

人材不足は、慢性的な残業の発生や休暇の取りにくさなど職場環境の悪化につながります。職場環境の悪化は従業員のパフォーマンスを下げ、ミスや品質低下を招く可能性が高まります。このような状況が続くと、従業員は「働きがい」や「意欲」を失いかねません。

また、日々の業務に追われスキルアップの機会も得られないでしょう。人材不足による職場環境の悪化は、企業側・従業員側の双方が認知しているものの感じ方には差があります。どうしても従業員の方が影響を強く感じるため、退職者の増加などさらなる人材不足を招かないよう対策が必要です。

人材育成や開発機会の減少

業務量に対して従業員数が不足していると、1人あたりにかかる負担が大きくなります。そのため日々業務に追われる状態が続き、人材育成まで行き届きません。十分な人材育成ができなければ、商品開発やサービス改善に向けた人的リソースの投下が難しいでしょう。人材不足は事業運営に欠かせない「人材育成」や「開発機会」の減少を招く恐れがあります。

収益減少

市場競争が激化する現代社会で事業運営を維持するためには、多様化する顧客ニーズに応え続ける必要があります。社会や顧客のニーズに合った事業運営をおこなうためには、顧客や社会ニーズの理解が欠かせません。しかし、十分な人材が揃わなければ新商品の開発やサービス改善が難しくなり、機会損失を招き収益減少の可能性が高まります。

建設業界

建設業界では従業員の高齢化が進み、若年層の人材不足に悩まされています。定年を迎える従業員が増える一方で、新規採用者が少ないため将来的にも深刻な人材不足を抱える可能性があります。

また、社会情勢の変化による需要の増減が著しいことも、安定的な採用を実施しにくい背景の一つとなっています。どちらにしても建設業界の「人離れ」が進み、人材不足を深刻化させる可能性が高まります。

医療・福祉業界

医療業界においては、地域による医師の偏りが問題となっています。日本の病院数や病床数は、世界でもトップクラスです。対して医師数は、非常に少ない数値を表しています。トップのギリシャは人口1,000人あたり6.1人ですが、日本は2.4人と半分にもおよびません。

また医師だけでなく看護師や介護職員などの医療従事者不足は、医療・福祉業界における大きな課題です。看護師の離職率の高さや介護職員の高齢化など、さまざまな問題に直面しています。

参照元：医療提供体制の国際比較（厚生労働省）

参照元：医療関連データの国際比較

飲食業界

飲食業界の人材不足は、他業種と比較しても慢性的で深刻な状況です。飲食業界の人材不足の主な原因は、アルバイトやパートタイマーなど非正規雇用の多さです。学生や主婦など一定期間の就業を想定しているケースが多いことから、慢性的な人材不足が発生し、少人数の正規雇用の従業員への負担が大きくなり、離職を招いています。

流通・運送業界

流通・運送業界においては、建設業界と同様に若手の人材不足が問題となっています。また新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、ネット通販を利用する人が増えたことも要因の1つです。需要増加に対してドライバー確保が間に合わず、人材不足を引き起こしています。

IT業界

急速なデジタル技術の進化に伴い、IT人材が不足しています。特に「AI」や「loT」など、先端技術を扱うエンジニアが不足しています。またIT業界は変化が速いため、社会のニーズに応えられる知識やスキルを持つ人材を見つけなければなりません。先端技術を扱える優秀なエンジニアは、多くの企業が求めており獲得するのが困難な状況です。

働きやすい環境作り

従業員の目線になり「長く働きたい職場」を作ることが大切です。働きやすい職場の特徴には、以下のようなものがあります。

• 福利厚生の充実
• 教育体制の整備
• コミュニケーションが取りやすい環境
• 情報共有がスムーズにおこなえる仕組み
• 円滑な人間関係を築ける雰囲気

退職者が多い場合は、働きやすい環境作りに注力するとよいでしょう。仕事に対するやりがいはもちろんのこと、従業員同士の人間関係や労働条件などに魅力を感じられる環境作りが必要です。福利厚生や服装など、直接業務に関係ない部分も見直すことで離職防止につなげられるでしょう。

採用方法の見直し

採用方法を見直すことで、応募者数の拡大が期待できます。多くの応募者のなかから選ぶことができるので、新たな人材に巡り合うチャンスが広がるでしょう。ただし、応募者の数ではなく「企業理念に共感できる」「求めるスキルに見合っている」人材であるかを重視することが大切です。また応募を待つだけでなく、企業側から積極的にアプローチする手法も注目されています。

雇用形態の選択肢拡大

業務量に対して従業員数が不足している場合は、正社員にこだわらない雇用形態も有効です。派遣社員やパートタイマーなど、雇用形態の選択肢を広げることで人材不足の解消が期待できます。また雇用形態の幅を広げる際は、マニュアルや教育体制を整備しておきましょう。

体制を整えておくことで、経験がなくても問題なく業務を遂行できます。社員がおこなっている業務を細分化し、派遣社員やパート採用の従業員に振り分けることで生産性の向上につながります。

デジタル技術の活用

AIなどデジタル技術の活用は、人材不足だけにとどまらず業務の効率化や生産性の向上も期待できます。デジタル技術を活用できる業務は、以下のようなものがあります。

• 勤怠管理
• 情報の管理や共有
• 問い合わせ対応
• データ入力や分析
• 在庫管理

人がおこなっていた業務をデジタル技術で自動化することで、従業員の負担を軽減し限られた人材での事業運営が可能です。単純作業や定型業務など自動化できることが多い場合は、デジタル技術の活用を検討してみましょう。

アウトソーシングの導入

アウトソーシングとは、社内業務の一部を外部へ委託することです。アウトソーシングできる主な業務は、以下のとおりです。

• コールセンター業務
• バックオフィス
• コンサル業務
• IT領域の業務

アウトソーシングを導入することで、従業員はコア業務に集中でき業務の効率化を図れます。また依頼したい業務に特化した受託事業者であれば、高品質で生産性の高い事業運営につながります。専門性の高い業務における人材が不足している場合は、アウトソーシングの導入がおすすめです。