コールセンターのエスカレーションにおいて決めておくべき4つのルール【問題点や削減方法も紹介】
電話を受けたオペレーターでは対応できないケースで、先輩や専任者へ対応を引き継ぐ「エスカレーション」は、トラブルを未然に防ぐための重要な業務です。一方で、作業が滞りやすく効率が悪くなり顧客満足度の低下を招くため、エスカレーション自体をなくしたいと考える企業も多いでしょう。
そこで今回の記事では、コールセンターでのエスカレーション発生時の問題点や解決策について解説します。具体的な削減方法も紹介しますので、エスカレーション対応でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
コールセンターのエスカレーションとは?発生要因も解説
コールセンターでのエスカレーション対応は、トラブル防止に有効な手段となります。まずは、エスカレーションとは何かをよく理解しておきましょう。そして発生要因を知ることで、対応の遅れを生じさせないことが大切です。
コールセンターのエスカレーションとは
エスカレーションは英語で「段階的な拡大・増加・上昇・激化」という意味を持っており、下位者では対応しきれない問題を上位者に引き継ぐことを指します。コールセンターで発生するエスカレーションも同様に、オペレーターが対応できない案件をSV(スーパーバイザー)や専任者に引き継ぐことを指します。
しかし、コールセンターでは即座に専任者に引き継ぐのではなく、まずはアドバイスを受けながらオペレーター自身が対応するのが一般的です。それでも解決が難しい場合は、専任者や専門部署へ引き継ぎます。クレームに発展させないためには、的確で素早い対応が求められます。必要なタイミングで、スムーズにエスカレーションできる体制を整えることが大切です。
発生要因
電話を受けたオペレーターでは答えられない難しい質問やクレーム対応など、専門部署または専任者への引き継ぎが必要な場合にエスカレーションが発生します。主な発生要因は、以下のとおりです。
- オペレーターの経験・知識不足
- 電話応対時の不適切な発言
- オペレーターに権限のない問い合わせ(値段交渉など)
- クレーム対応
クレーム対応で最初から「責任者を出せ」と言われると、エスカレーションが避けられない場合があります。それでも、エスカレーションはオペレーターのスキル不足や応対品質の低さなど、コールセンター側に落ち度がある事例が多いです。
コールセンターのエスカレーションにおける3つの問題点
多くのコールセンターで、日常的にエスカレーション対応が実施されています。しかし、判断の難しさや特定の専任者への業務集中など問題点を抱えるコールセンターもあるでしょう。ここでは、エスカレーション対応時に起こる問題点について詳しく見ていきましょう。
エスカレーションを行う判断基準がない
顧客対応中にエスカレーションが必要であると判断したときは、適切なタイミングで引き継ぐことが重要です。しかし、経験の浅いオペレーターはエスカレーションが必要かの判断に困ることが多く、対応に遅れを生じさせてしまう場合があります。エスカレーションが遅れると、顧客に不満や不信感を与えてしまいます。
一方、安易に引き継ぐと特定の専任者に業務が集中し、良好なコールセンター運営ができません。一方で、オペレーター個人の判断に任せると一貫性のない顧客対応となり、トラブルの原因や問題解決に時間がかかるなど、さまざまなリスクを生じさせる可能性があります。
特定の専任者に業務が集中する
オペレーターでは対応できない問題に直面した際、スムーズに専任者へ引き継ぐことが重要です。しかし、すぐにエスカレーションを行ってしまうと特定の専任者に依頼が集中し、必要な対応ができない場合があります。エスカレーションを行う基準や方法が確立されていないコールセンターでは、誰に相談・引き継ぎをすれば良いか分かりません。
そのため、同じ専任者に引き継ぎされるケースが多くなり、業務負荷にかたよりが生じます。また、専任者不在や想定外の問題が起こった際に、オペレーターが適切に対応できなくなる可能性もあるでしょう。オペレーターのスキルを高めて対応できる業務を増やすことや、エスカレーションを受けられる担当者を増やすなどの対策が必要です。
顧客満足度と業務効率の低下を招く
エスカレーションが必要な場面でスムーズな引き継ぎが実施されないと、顧客を待たせてしまいます。また、保留時間が長く課題解決までに時間がかかると、顧客は不満に感じやすいでしょう。さらに、先輩や専門部署への相談・質問が長くなると、1件あたりの応対時間が増加します。
このように、業務効率の低下が起こり応答率が下がると、顧客の不満や不信感を増幅させる可能性が高くなります。コールセンターにおける電話のつながりにくさは、顧客満足度の低下に繋がるため注意が必要です。
コールセンターのエスカレーションを行う際に決めておくべき4つのルール
コールセンターにおいて、スムーズなエスカレーションを実施する4つのルールを紹介します。
- エスカレーションの対象を明確にしてレベル分けする
- エスカレーションのプロセス・フローを整理する
- 情報共有を徹底する
- 定期的にルールの見直し・更新を行う
エスカレーション対応がスムーズに実施されないと、顧客満足度や業務効率の低下などさまざまな問題を引き起こします。そのような事態とならないようにルールを明確にし、オペレーターが迷わず判断できる環境作りが必要です。
エスカレーションの対象を明確にしてレベル分けする
まずは、エスカレーションを必要とする場面を明確にし、顧客対応の難しさや要望別にレベル分けしておきましょう。一般的には、質問・相談を行いオペレーターが対応するレベル1、専任者の対応が必要なレベル2など段階的に分けられます。レベル分けを行い対応者を決めておくことで、スムーズなエスカレーションが可能です。
また、エスカレーションの対象となる問い合わせ内容は具体的にしておきましょう。オペレーターが迷わず判断できることが、重要なポイントです。特に、経験の浅いオペレーターは判断に迷い、適切な対応ができず問題を大きくする危険性があります。さらに、現場ではさまざまな状況が想定されるため、複数のパターンを用意することが大切です。
エスカレーションのプロセス・フローを整理する
エスカレーションフローとは、対応が必要な問い合わせ発生から引き継ぎまでの一連の流れを示すものです。事前にプロセスやフローを整理することで、難しい質問や不明点があっても慌てず落ち着いた顧客対応が可能です。エスカレーションフロー作成の際は、担当者不在や専任者への引き継ぎが難しいなど、イレギュラー時の対応方法についても決めておくと良いでしょう。
さまざまなパターンを想定してフローを作成することで、特定の専任者へ引き継ぎが集中するのを防げます。現場では想定外なことが起こる可能性があるため、どんな状況でもオペレーターが落ち着いて対応できる仕組みを作ることが大切です。また、誰もが一目で手順を認識できるフロー図を用意しておくと、よりスムーズなエスカレーションができます。
情報共有を徹底する
エスカレーションを実施した事例は、対応内容と解決方法を記録し全オペレーターへ周知しましょう。そうすることで、次に同じような質問を受けた際にエスカレーションを行わず、オペレーター1人で対応できます。コールセンターに寄せられる問い合わせの課題と対策を、蓄積し共有し続けることでオペレーターのスキルアップにも繋がります。
各オペレーターの応対スキルが向上することで、エスカレーション件数の削減が可能です。エスカレーションを必要とする場面の減少は、1件あたりの対応時間の削減やコールセンター全体の応答率アップに貢献し、業務効率や顧客満足度の向上に期待できます。
定期的にルールの見直し・更新を行う
最初に作成したルールはあくまで枠組みに過ぎないため、定期的な見直しが必要です。エスカレーション対応を実施するなかで、想定外のトラブルが発生するかもしれません。そのため、その都度ルールを見直し、最適な状態に更新し続けることが大切です。
エスカレーションフローは柔軟に改善し続けることが、システムを機能的に活用していくポイントです。また、ルールの見直しや更新は迅速に行いましょう。コールセンターでは日々多くの問い合わせを受けるので、いち早く最新の状態に整えることが重要です。エスカレーションの流れだけでなく、担当者の変更があった際も現場が混乱しないよう更新しましょう。
コールセンターのエスカレーションを削減する4つの方法
コールセンターのエスカレーションではスムーズな引き継ぎが必要ですが、そもそも専任者や上司への対応依頼自体を減らすことでスピーディな問題解決が可能です。ここでは、エスカレーションを削減する4つの方法を紹介します。
FAQやマニュアルの整備
FAQやマニュアルを整備し、オペレーターが1人で応対できる仕組み作りが必要です。FAQとは「よくある質問と回答」を指し、さまざまな質問に対する応対手順を明確にします。充実したFAQを用意することで、オペレーターのスキルや経験に関係なく適切な問い合わせ対応が可能です。コールセンターでは質の高い応対とスピーディな問題解決が求められます。そのため、誰にでも分かりやすいマニュアルや、素早く答えを見つけられるFAQ作りが大事です。
コールセンターシステムの活用
コールセンターシステムとは、コールセンター向けの業務支援システムです。コールセンターシステムでできることは、以下のようなものがあります。
- 電話とコンピューターを連携させ、エスカレーション先を登録
- 自動振り分け機能による、最適なオペレーターへの接続
- 通話録音機能により、問い合わせ内容の自動記録と共有
直接的な方法ではありませんが、自動振り分けなどでクレームを減らすことでエスカレーション削減が期待できます。また、エスカレーション先を登録することでスムーズな引き継ぎが可能です。自動録音機能は自動で記録できるため、業務の手間を省き細かいやり取りまで確認できます。
オペレーターの教育
エスカレーション対応が必要となった案件で蓄積したデータをもとに、オペレーター教育を行うことで応対スキルの向上が期待できます。オペレーターの応対品質を向上させることで、コールセンター側のミスによるエスカレーションの削減が可能です。また、オペレーターの応対スキル向上や知識が増えることで対応可能範囲が広がり、専任者へのエスカレーションが必要な問い合わせが少なくなります。
「NTTネクシア」では、コールセンターにおけるさまざまな顧客接点に応じたトレーニングが可能です。なかでも、電話応対においては役割に応じた研修を実施し、コールセンター内の応対品質の向上や均質化を図っています。オペレーターのスキルアップやコールセンター内全体の品質向上を求めている方は、お気軽に「NTTネクシア」へご相談ください。
オペレーターの対応範囲の拡大
オペレーターの対応可能範囲を広げることで、エスカレーションが必要なケースを減らせます。クレーム対応時など顧客の不満解消を図るクーポン発行や料金割引など、一定程度オペレーターの権限を拡大することで一次応対の段階での解決に繋がります。
ただし、すべてのオペレーターの対応範囲を一律に拡大すると、応対品質を低下させるリスクがあるためスキルに合わせて対応範囲の調整が必要です。
オペレーターの人材育成でコールセンターのエスカレーションを削減しよう
コールセンターのエスカレーション発生は、オペレーターの知識・経験不足や応対スキルの低さが要因となることが多いです。また、エスカレーション発生時の問題点として、特定の専任者に質問・引き継ぎが集中することや判断に迷うケースなどがあります。さらに、エスカレーションがスムーズに実施されず、待ち時間が長くなることで顧客満足度や業務効率化の低下を招く危険性が高まります。
エスカレーション削減方法はいくつかありますが、まずはオペレーターのスキルアップを行い対応可能範囲を広げることが重要です。「NTTネクシア」では、役割に合わせた研修を行いコールセンター内の応対品質向上を実現します。オペレーターだけでなく、マネージャーやSVの研修コースも充実しているため、エスカレーション発生時もスムーズな対応が可能です。コールセンターのエスカレーション対応でお困りの方は、オペレーターのスキルアップができる「NTTネクシア」へお気軽にご相談ください。
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