カスタマーサポートにチャットシステムを導入するメリット4選・デメリット3選【注意点も解説】
顧客の消費スタイルの変化に伴い、カスタマーサポートは顧客満足度の向上のための重要拠点として注目されています。しかし、人材不足や応対品質のばらつきなど、さまざまな課題を抱えている企業が多いのが現状です。
特に、人材不足は深刻な問題となっており、解決策として「チャットシステム」の導入が有効です。そこで今回の記事では、チャットシステム導入によるメリット・デメリットや導入時の注意点について詳しく解説します。カスタマーサポートの課題解決でお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
チャットシステムとは
チャットシステムとは、Webサイト内や連携するSNS上に設置したチャットウィンドウを介して、顧客と企業がコミュニケーションを取れるシステムです。チャットシステムはプログラムやAIを利用した自動応答型と人が対応する有人対応型があり、導入する目的やサポート内容に合わせた使い分けが可能です。
チャットシステムを利用することで、顧客は待たされることなく疑問を解決できるため顧客満足度の向上につながります。また、一部のチャットシステムにはサイト内における顧客の行動パターンを分析する機能があり、顧客の問題解決だけでなくマーケティング施策に活用できます。カスタマーサポートにおいても、人材不足の解消やコスト削減などに効果的として近年注目されているシステムです。
カスタマーサポート向けチャットシステムは3種類
カスタマーサポート向けのチャットシステムは以下の3種類です
- 自動応答型
- 有人対応型
- ハイブリッド型
ここでは3つのチャットシステムの特徴について解説します。それぞれの仕組みをよく理解し、目的に合ったチャットシステムを選ぶことが大切です。
自動応答型
自動応答型は、プログラムを利用し自動で顧客の応対を行うチャットシステムです。自動応答型には、設定したシナリオで会話を行うルールベース(シナリオ)型と、人工知能を搭載したAI(機械学習)型の2つのタイプがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
- ルールベース(シナリオ)型
ルールベース型とは、事前に設定したシナリオに従って会話を進めるチャットボットを指します。チャットボットが提供した選択肢の中から、顧客が最適な回答を選び進めることで知りたい情報に辿り着くのが特徴です。当然ながら、設定していない質問には回答できません。設定方法や取り扱い説明など、答えを用意しやすい問題解決に向いています。
- AI(機械学習)型
AI型は、学習して回答を導き出せる「人工知能」を搭載したチャットボットを指します。過去の履歴をデータ化し学習するため、事前設定していない質問内容や複雑な問い合わせにも対応できるのが特徴です。AIが学習を重ねて精度が上がることで、顧客の質問や要望に対してより適切な回答が可能となります。
シナリオ型とAI型の特徴をよく理解し、導入目的にあったチャットシステムを選ぶことが大切です。
有人対応型
有人対応型とは、オペレーターが問い合わせの返答を行うチャットシステムを指します。問い合わせに対して柔軟な対応が可能であり、顧客満足度の向上に大きく貢献します。しかし、問い合わせが集中した際は待ち時間が発生するため、自動応答型と組み合わせた対応が有効です。また、素早い回答や正確で分かりやすい文章作成が求められるので、対応するオペレーターのスキルが問われます。
ハイブリッド型
ハイブリッド型とは、自動応答型と有人対応型の機能を兼ね備えたチャットシステムのことを指します。一般的には、よくある質問や簡単な問い合わせなどは自動応答型で対応し、回答できない質問の場合は有人対応型に切り替えるのが主流です。
なかには、有人チャットではなく電話サポートに切り替えるケースもあります。また、日中はオペレーターが対応し、深夜や早朝は自動応答型に切り替えるなど、時間帯によって切り替えを行うことで24時間のサポート体制を整えることが可能です。
カスタマーサポートにおけるチャットシステム導入のメリット4選
カスタマーサポートにチャットシステムを導入するメリットは、以下のようなものがあります。
- 顧客満足度の向上
- 業務効率化
- 24時間365日対応可能
- データの蓄積と活用
チャットシステムを導入する際は、導入する目的や課題を明確にしておくことが大切です。この章では、チャットシステムを導入するメリットについて解説しますので、自社のカスタマーサポートの課題が解決できるか判断しましょう。
顧客満足度の向上
カスタマーサポートにおいて、人材不足による電話のつながりにくさが課題となっている企業は少なくありません。自動応答型のチャットシステムの利用により、顧客はすぐに必要な回答を得られます。さらに、自動応答型であれば時間帯を気にせず問い合わせが可能なため、利便性の高いカスタマーサポートの実現が可能です。
また、有人対応型やハイブリッド型のチャットシステムでは、顧客に合わせた柔軟な対応ができます。チャットシステムを導入し、知りたい情報を素早く提供できる仕組みを作ることで、顧客満足度の向上が期待できます。
業務効率化
電話によるカスタマーサポートは、基本的に1対1での応対です。一方でチャットシステムを利用した場合は、同時に複数人の顧客対応が可能です。また、簡単な質問を自動応答型に任せて複雑で難しい問い合わせのみオペレーターが対応するなど、臨機応変なサポートを提供できます。
オペレーターが定型文を選択するだけで回答できるシステムを構築すれば、サポートの質にばらつきを生じさせることがなくなります。さらにAIを搭載した自動応答型は、精度を高めることでカスタマーサポートの人員削減も可能です。チャットシステム導入は、スムーズな顧客対応でカスタマーサポートの業務効率化が期待できます。
24時間365日対応可能
自動応答型のチャットシステム導入により、営業時間や休業日などに関係なく、いつでも顧客をサポートできます。顧客側は時間を気にすることなく、自分の好きなタイミングで問い合わせ可能です。特に、顧客のターゲット層が日中時間を取りにくい世代の場合や、土日祝日の利用がメインのサービスを提供している企業などは、時間に縛られないチャットシステムが有効なサポート手段となるでしょう。
データの蓄積と活用
チャットシステムで行われたやり取りは、全てデータとして蓄積されています。多くの顧客から寄せられている問い合わせの傾向を分析することで、自動応答型のチャットシステムの精度の向上が可能です。顧客情報と連携できる機能を利用すれば、顧客のニーズに合わせた対応ができ最適なサポートを提供できます。
また、蓄積されたデータはカスタマーサポート業務以外に、商品開発などマーケティング施策への活用が可能です。蓄積されたデータを分析し、顧客の声を可視化することで新商品の開発やサービス改善への貢献が期待できます。
カスタマーサポートでチャットシステムを導入するデメリット3選
業務効率化などメリットの多いチャットシステムですが、デメリットもいくつかあります。
- 自動応答型では対応できる内容が限られる
- 有人対応の場合はオペレーターの育成が必要
- 定型文の入力や設定に手間がかかる
チャットシステムでは、事前設定やオペレーターのスキルなど電話応対とは異なる手間と教育が必要です。チャットシステム導入で失敗しないために、デメリットについても事前に確認しておきましょう。
自動応答型は対応できる内容が限られる
自動応答型のチャットシステムは、質問内容によって対応できない問い合わせがあります。一般的に難しいとされている問い合わせには、以下のようなものがあります。
- 長文の問い合わせ
- 独特な言い回しや曖昧な表現による質問
- 内容が複雑な問い合わせ
特に、ルールベース(シナリオ)型では、事前に設定されていない質問には答えられません。AI(機械学習)型であれば、繰り返し学習することで対応可能です。また、AI型には「表記ゆれ」や「言い回しの違い」などに対応できるシステムもあります。自動応答型の導入を考えている場合は、現在の問い合わせ内容を調査し、対応可能なチャットシステムを選択しましょう。
有人対応の場合はオペレーターの育成が必要
顧客にとってチャットを利用したカスタマーサポートは、すぐに回答が得られることが利点です。自動応答型はもちろんのこと、有人対応型の場合でも素早い対応が求められます。顧客の問い合わせ文章から知りたい情報は何かを読み取り、回答を文字で相手に分かりやすく伝えるためには、オペレーターのスキルが必要です。そのため、有人対応型のチャットシステムを導入する際は、オペレーターの育成は欠かせないということを理解しておきましょう。
定型文の入力や設定に手間がかかる
AIを搭載していない自動応答型は、事前に質問と回答を設定する必要があります。よくある質問に対して、パターン別に回答を作成しなければなりません。また、定期的にメンテナンスを行い最適な回答を用意することが大切です。ルールベース(シナリオ)型の導入は、事前準備とメンテナンスに時間と手間がかかることを理解しておきましょう。
カスタマーサポートにチャットシステムを導入する際の3つの注意点
カスタマーサポートにチャットシステムを導入する際は、以下の3つの点に注意しましょう。
- 社内の受け入れ体制を整える
- ユーザー層の適性を考慮する
- 目的を明確化する
自社に最適なタイミングで、目的に合ったチャットシステムを導入するのが大切です。注意点を詳しく解説しますので、チャットシステムを導入する際の参考にしてみてください。
社内の受け入れ体制を整える
チャットシステム導入による効果を最大化するためには、使用するシステムを賢くしていくことが大切です。ルールベース(シナリオ)型の場合は、定期的に質問内容と回答を見直します。また、ルールベース型は事前に設定された質問にしか答えられないため、より多くのパターンを用意しておくことが重要です。問い合わせの多い質問を随時追加し、見直していくことでチャットシステムの精度が高まります。
AI(機械学習)型は、問い合わせを受ければ受けるほど賢くなります。そのため、まずはチャットを多くの顧客に利用してもらうことが必要です。チャットシステムの効果を高めるためには、必ず人の手によって入念な準備とこまめなメンテナンスを行わなければなりません。チャットシステム運用の担当部署や責任者を決め、適切な管理ができる環境を作ることがチャットシステム導入の効果を高めることにつながります。
ユーザー層の適性を考慮する
便利なチャットシステムだとしても、ユーザーがチャットを使いこなせない世代や客層である場合、利用される機会は少ないでしょう。そのため、ユーザーの年齢層などを考慮してチャットシステムの導入を検討する必要があります。導入後の利用率に不安がある場合は、低コストで小規模なサービスを利用してみると良いでしょう。自社に合わなかった場合でも、大きな損失につながりにくいため安心して導入できます。
目的を明確化する
導入目的によって最適なチャットシステムは異なります。そのため、チャットシステムの効果を最大化するためには、導入目的を明確にすることが大切です。カスタマーサポートにおける主な目的として以下のようなものが考えられます。
- オペレーターの負担軽減
- 人件費の削減
- 顧客満足度の向上
まず、オペレーターの負担軽減や人件費削減を目的とするのであれば、自動応答型を導入し顧客が自己解決できる仕組み作りが必要です。顧客満足度の向上を目的とする場合は、有人対応型やハイブリッド型で顧客に合わせた対応が求められます。また、自動応答型で時間に制限されることなく対応することも、顧客満足度の向上につながるでしょう。このように、重視したい部分に合ったチャットシステムを選ぶことが大切です。
自社のカスタマーサポートの課題に合ったチャットシステムを導入しましょう
カスタマーサポートにおけるチャットシステム導入は、顧客満足度の向上や業務の効率化が期待できます。チャットシステムには、自動応答型や有人対応型など3つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。また、問い合わせ内容によっては向き不向きがあるため、目的に合ったチャットシステムを導入することが重要です。
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