CXとCSの違いとは?顧客体験価値向上のカギを握るコールセンターの在り方
商品やサービスだけでの差別化が難しくなった現代では、CS(顧客満足度)だけでなくCX(顧客体験価値)が重要視されるようになりました。しかし、CXとは何かを理解しきれず何をしたらいいかわからないという方もいるでしょう。
そこで今回の記事では、CXとCSの違いやコールセンターで意識するポイントについて解説します。コールセンターのCX向上で得られる効果などが分かる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
CXとCSとの違い
CXとCSは似たような言葉で混同されやすいですが、その意味や内容は大きく異なります。まずはこの2つの言葉を正しく理解し、自社に必要な取り組みを明確にしましょう。
CX(顧客体験価値)とは
CX(顧客体験価値)とは「Customer Experience (カスタマーエクスペリエンス )」の短縮形で、商品やサービスを知った段階から購入後のアフターフォローまでに味わった、感覚的・心理的な体験で得た「価値」を指します。そのため、商品やサービスを利用することで得られる体験だけでなく、宣伝広告から購入後のサポートまでの一連を通して感じられる価値が重要です。
また、CXでは、商品の機能性やサービスの価格など物質的な面で価値を判断するのではなく、顧客の体験に重きを置いた心理的価値を評価します。
では、CXの例を見てみましょう。
- 購入した店の雰囲気が良かった
- 掃除が行き届いていて清潔感がある
- スタッフの言葉遣いやマナーが美しい
- 通販サイトで購入した商品がすぐ届いた
- 困りごとをスピーディーに解決してくれた
このように、感情を揺さぶる体験がCXを高める要素となります。上記の例は企業が直接提供できる要素ですが、口コミやSNSへの投稿など直接関われないCXもあることを理解しておきましょう。
CS(顧客満足度)との違い
CS(顧客満足度)とは、商品やサービスに対してどの程度満足しているかを数値化したもので「Customer Satisfaction(カスタマーサティスファクション)」と表現されています。CXが感情的・心理的な体験に対する価値であるのに対し、CSは商品やサービスに対する満足度を図る指標です。CSは商品やサービスに対する期待値が影響しており、その期待を超えられたかどうかが重要なポイントです。
例えば、どんなに手厚いサービスであっても、人によっては不快に感じることもあります。そのためCSを高めるためには顧客の期待を正しく見極めて、最適なサービスや商品を提供することが大切です。
CXを構成する5つの心理的な価値
CXは数値化することが難しいためわかりにくいですが、分類すると理解しやすくなります。CXを構成する5つの心理的価値について、詳しくみていきましょう。
感覚的価値(Sense)
感覚的価値(Sense)とは、視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚の五感を刺激することで発生する感情を指します。
- 安らぐBGM
- コーヒーの良い香り
- コンセプトに合ったインテリア
- 座り心地のいいチェア
- 美味しい料理
このように感覚的な好みを得られる体験は、顧客の満足度も高めることができ「また来たい」と感じてもらえるでしょう。感覚的な価値が高まることにより、リピーターを増やすことが期待できます。
情緒的価値(Feel)
情緒的価値(Feel)とは、顧客の感情に訴えかけることで発生する価値を指します。
- 掃除が行き届き、清潔感のある店内
- 丁寧な接客
- 質問に対する的確な返答
- 充実したアフターフォロー
- 商品が誕生したきっかけを紹介
上記のような顧客の安心や信頼に繋がるサービスを提供することが大事です。また、感動や共感を生み出すこともCXの向上に貢献します。
創造的・認知的価値(Think)
創造的・認知的価値(Think)とは、顧客の好奇心を刺激する知的欲求に訴えかけることで発生する価値を指します。
- 使ってみたい
- 面白そう
- もっと知りたい
- わくわくする
- 勉強になる
創造的・認知的価値(Think)では、企業や商品の特徴を最大限アピールすることが大切です。顧客が「これまでにない特別な体験」であると認識することで、知的好奇心が満たされます。
肉体的価値(Act)
肉体的価値(Act)とは、身体を使った体験によってライフスタイルに変化や影響を与えることを指します。
- 仕事の効率が上がった
- アプリを使用することで学習時間が増えた
- スポーツジムに通って体調が改善した
- スキンケア用品を使って肌の調子が良くなった
肉体的価値(Act)を意識したサービスを提供することで、顧客の生活や行動にプラスの変化を与えることができます。理想の暮らしに近づく体験をすることで、高い満足感を得られ継続的なサービスの利用・商品の購入が期待できるでしょう。
社会的価値(Relate)
社会的価値(Relate)とは、特定の集団や文化へ属する欲求を満たす体験で得られる価値を指します。
- ファンクラブに入会する
- 憧れのタレントと同じ化粧品を使う
- 限定イベントに参加する
- 応援しているスポーツチームのグッズを購入する
このようにグループに属したり、憧れの人と同じものを使ったりすることで「特別感」や「誇り」を持つことができます。社会的価値(Relate)を高めることは競合他社への乗り換えを防ぎ、企業や商品への愛着を高めることにも繋がるでしょう。
コールセンターのCX向上で期待できる3つの効果
商品やサービス自体の差別化が難しい現代社会では、それ以外で特別な価値を見出す必要があります。そこで重要視されているのが「コールセンターのCX」です。貴重な顧客接点であるコールセンターで、質の高いサービス・サポートを提供することで顧客満足度も高まります。コールセンターのCXを向上させることで期待できる3つの効果について、詳しく見ていきましょう。
企業のブランディング
インターネットの普及により、人を介さない買物やサービスも増加しています。そのため、コールセンターへの電話で初めて直接接点を持つということも少なくありません。デジタル化が進む現代社会で、コールセンターは貴重な顧客接点となっています。コールセンターでより良い体験をすることで、企業全体にポジティブなイメージを持ってもらえます。
商品ではなく会社の名前やロゴなどでもイメージが定着することで、競合他社との差別化に繋がり企業のブランディングを成功へと導いてくれるでしょう。企業のファンとなることで、ほかの商品やサービスにも興味を持ってもらえる機会が増えます。そうすることで、企業全体の収益アップが期待できます。
リピーター獲得
コールセンターに電話をかけてくる顧客の多くが、商品への不安や不満を感じています。顧客が抱えている課題を解決することはもちろんですが、解決に至るまでの過程も重要です。例えば「コールセンターは繋がりにくい」という印象をお持ちの方は多いでしょう。そこで自動応答システムを用いて適切に振り分けを行うことで、顧客の待ち時間も減りスムーズな対応が可能となります。
また、問い合わせ内容に合わせて的確に振り分けられることで、たらい回しにされたり、かけ直したりする必要もないため一度の問い合わせで解決できます。さらにオペレーターが質の高い対応を提供し、顧客が期待する以上の体験をすることができれば、また同じ商品・サービスを利用したいと感じてもらえるでしょう。コールセンターのCX向上は、リピーターを増やし安定的な収益にも繋がります。
既存顧客による宣伝効果
人は「感動したこと」や「驚いたこと」など感情が大きく動かされたとき、そのことを誰かに共有したくなると言われています。これはコールセンターにおいても同じで、不安や不満を持って問い合わせたとき、問題が解決されるだけにとどまらず感動的と思えるような体験をすると、友人や家族など親しい人に伝えたくなります。
このとき伝える内容は実体験をもとにしたポジティブな感想であり、より第三者に伝わりやすいでしょう。自社が発信する宣伝広告よりも高い効果が期待でき、新規顧客の獲得にも貢献します。
コールセンターのCX向上で意識すべき3つのポイント
コールセンターは慢性的な人材不足やオペレーターの教育環境など、さまざまな課題を抱えていることが多いです。まずはこれらの問題を解決し、CX向上に繋がる施策を継続的に行っていく必要があります。そのほか、コールセンターのCX向上で意識すべきポイントについて理解し、これから取り入れて行くべきことを明確にしましょう。
オペレーターの業務支援
慢性的な人材不足は、コールセンター業界における課題の1つでもあります。心理的負担の大きいオペレーター業務は、離職率が高く募集に対する応募数も少ないのが現実です。人材不足は応答率を下げるだけでなく、オペレーターを疲弊させ対応品質の低下も招きます。また、人材を指導する余裕もなくなるため、新人を育てることもできません。
人材不足による問題を解決するには、オペレーターの教育や業務サポートを充実させることが重要です。スーパーバイザーと呼ばれるオペレーターの管理者による面談・フィードバックの実施や、マニュアルの整備など、人材育成や業務支援の体制を強化しましょう。まずはオペレーターが最適な対応を提供できる環境作りが大切です。
データの活用
コールセンターの業務には、顧客からの電話を受ける「インバウンド」と、顧客へ電話をかける「アウトバウンド」があります。インバウンド業務では、主に商品の不具合や顧客の不満などが寄せられます。それぞれの情報を収集し分析することで、顧客の真のニーズを把握することが可能です。
コールセンターに集まるデータは以下のようなものがあります。
- 顧客情報(年齢・性別・住所など)
- 購入履歴
- 問い合わせ内容
これらを分析し活用することで、さまざまなフェーズにおけるCXの向上に繋がり、企業全体の収益にも繋がるでしょう。また、問い合わせ時にそれらのデータを一括で確認できれば、顧客が何度も同じことを説明しなくて済みます。
問い合わせチャネルの強化
デジタル化が進み、電話以外での問い合わせも増えています。メールやチャットなどのチャネルを用意することも、コールセンター運営を円滑に進めるために必要です。一方で、メールやチャットで解決できなかったとき、最終的に電話での問い合わせに切り替えるケースもあるでしょう。その際に、これまでの問い合わせ履歴を確認することができれば、顧客の時間を奪うことなく不満を回避できます。
顧客が好む問い合わせ方法は世代によってもさまざまなので、多様なチャネルを設定しておくことは大切です。顧客側にとって都合の良い問い合わせ方法を選べることは、コールセンターにおけるCXの向上に繋がります。
コールセンターの役割を見直し、企業全体のCX向上を目指しましょう
コールセンターは顧客と企業の貴重な接点であり、そこでの感動体験は企業全体のCX向上にも大きく貢献します。また、競合他社との差別化やリピーターの獲得など、さまざまな効果も期待できます。さらに、顧客がコールセンターでの感動体験を第三者に共有することは高い宣伝効果が期待でき、新規顧客を獲得するきっかけにもなるでしょう。
コールセンターのCX向上は、企業にとって大きな成果をもたらします。とはいえ、自社で高品質なコールセンターを運営するのは難しい場合もあるでしょう。そんなときはコールセンターの外注委託を検討してみてはいかがでしょうか。コールセンター運営でお困りの方は、企業の問題解決を提案する「NTTネクシア」にお気軽にご相談ください。
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