製造業におけるDXのメリット2選!推進する際の課題と5つの導入事例を紹介
生産性向上が求められる製造業において、DXは急務の課題としてあげられています。世界的な市場競争で優位性を確立するためにも、製造業の業務プロセスの改善は必要不可欠です。しかしIT人材の不足や適切な投資ができていないことから、製造業DXが思うように進んでいない企業が多いです。
そこで今回の記事では、製造業DXの必要性と推進する上での課題を解説します。製造業における事例も紹介しますので、自社のDXにお悩みの企業さまはぜひ参考にしてみてください。
目次
製造業DXが注目される理由
製造業におけるDX推進の目的は、日本の「モノづくり文化」の継承と社会ニーズを捉えた事業運営です。日本のモノづくり文化においては、世界でもトップクラスと称されるほどの技術やサービスを提供してきました。
しかし磨かれた技術や洗練されたサービスは、職人の技量によるものが多く属人的です。現場に依存した属人化からの脱却を図るためにも、職人の技量に頼らない作業の効率化と技術の継承をデジタル技術で実現する必要があります。
また昨今の社会ニーズの変化は著しく、製造業においても顧客の「欲しいモノ」を正確に察知しなければなりません。情報収集とデータ分析を行い、顧客が求めていることを知るためにはデジタル技術が必要です。顧客ニーズに合った商品を開発し、効率良く提供するために製造業のDX推進が求められています。
製造業DXのメリット2選
製造業DXを進めることで、生産性の向上と人材不足の解消が期待できます。この章では、製造業のDXで得られる2つのメリットについて詳しく解説します。労働人口の減少が進む日本における、重要な課題の解決策になるDX推進の必要性を理解しておきましょう。
生産性の向上
デジタル技術を活用することで、生産管理や作業工程の最適化につながり業務の効率化が可能です。生産管理においては、受注からアフターサービスまでを一元的に管理することで、全工程を「見える化」できます。工程ごとの状況を把握しやすく、人的ミスや工場内でのトラブルの早期発見と問題解決が可能です。人的ミスやトラブルを軽減できれば、リソースを最大化でき生産性の向上につながります。
しかし深刻な生産性の課題を抱える中小企業では、常に限界状態の人員体制とコスト削減に取組んでいる現状です。そのような状態では、単なる業務の効率化だけでは余裕のある事業運営は望めないと思う経営者も多いでしょう。巨額の費用をかけて設備投資をしても収益アップにつながらないとすれば、DX推進に踏み切れないのも事実です。
そのような企業のDX推進は、今ある設備に後付けできるIoTの活用が有効です。IT投資にかかるコストと現場の従業員の負担軽減とあわせて、生産性の向上が期待できます。DX推進にかかるコスト負担が懸念点になっている場合は、低コスト・低リスクで導入できる非コア業務のアウトソーシングもおすすめです。非コア業務を外部に委託することで、従業員をコア業務に集中させられるので少ないリソースで生産性を高められます。
人材不足の解消
DXを推進しデジタル技術を活用することで、製造過程の最適化や自動化を実現できます。少子高齢化に伴う労働人口の減少が著しい現代において、人的リソースの省力化が図れるDXは人材不足解消が期待できます。
また製造ラインの最適化だけでなく非コア業務のDXを推進することで、自社の人的リソースの最大化が可能です。非コア業務のDXをおこなう手段として、業務の一部を外部に委託するアウトソーシングやBPOなどが有効です。専門的な知識とスキルを持った人材が揃った受託事業者に委託することで、人材不足の解消だけでなく業務の効率化や品質向上にもつながります。
製造業DXにおける2つの課題
製造業の人材不足や生産性の低下など、さまざまな問題を解決するためにもDX推進が求められています。しかし、DXを推進するにあたって「IT人材の不足」や「適切なIT投資ができていない」などの課題があります。製造業DXにおける2つの課題が、企業にどのような影響を与えるか理解しておきましょう。
IT人材不足
製造業DXを推進するにあたり、AIなどデジタル技術に精通した人材が必要不可欠です。しかしIT人材は日本全体で不足しており、多くの企業・業種で十分な人員を確保できていません。製造業においても、DX推進の先導的役割を担うIT人材の確保に課題を抱えている企業は多いでしょう。
また製造業はモノづくりをおこなう人材の確保に注力してきたため、IoTやAIなどデジタル技術を使いこなせる従業員は少ない可能性があります。その場合、今いる従業員だけでは、デジタル技術を導入したとしても持て余してしまいDXは進みません。IoTやAIなど製造業DXに役立つデジタル技術は多数あるものの、十分に活用できるIT人材がいないことが大きな課題となっています。
適切なIT投資ができていない
IT人材が不足していることに加えて、適切なIT投資ができていないケースがあることも製造業DXの課題の1つです。IT投資をする際の観点は、以下の2つに分かれます。
- 現状の経営資源を維持しつつ利益の最大化をめざす
- 社会の変化への対応を重視し変革をめざす
現状の経営資源を維持するという考えの場合、設備の保守がIT投資の目的になってしまいます。DXは単なるデジタル化ではなく、業務プロセスの変革や商品を利用する顧客の生活に変化をもたらすことが目的です。IT投資が適切でなければ、本来の製造業DXの目的を果たせません。
製造業DXを推進するためには、社会の変化に対応できる変革をめざす必要があります。また適切なIT投資がされず社会のニーズに応えられなければ、市場競争の優位性を確立できず事業存続の危機にさらされます。
製造業DXの事例5選
製造業におけるDXには、どのようなものがあるか5つの事例で紹介します。
- 業務におけるペーパーレス化
- 生産管理システムの導入
- データ活用による業務プロセスの省力化
- 電話対応のデジタル化
- 工場内のIoT化
具体的な事例を参考に、自社のDX推進の参考にしてみてください。
業務におけるペーパーレス化
業務に必要な帳票類をデジタル化し、保存や検索などの処理を電子化することで紙の使用量を減らせます。印刷にかかる費用が減るので、コスト削減にも効果的です。電子化することで、帳票類から得られる情報のデータ分析と活用が推進されるでしょう。業務プロセスの改善や商品開発など、ビジネスモデルの変革をもたらし製造業DXの成功につながります。
さらに帳票や伝票など業務に必要な書類をデータ化すれば、情報検索や転記作業にかかる手間を省けます。ペーパーレス化を進めることで、労働時間の削減につながり従業員が働きやすい環境作りが可能です。
また「モノづくり」を行う製造業において、SDGsの観点からも業務のペーパーレス化が推進されています。ペーパーレス化は環境負担の軽減につながるため、持続可能な社会作りにも貢献できます。環境に配慮している企業は社会からの信頼を得られやすく、企業の価値向上が期待できるでしょう。
生産管理システムの導入
製造業のDXを推進する上で、生産管理システムの見直しは必要不可欠です。生産管理システムは計画から販売さらには品質など、製造業に必要なさまざまな業務を一括で管理するシステムです。統合的に管理することで作業工程が「見える化」され、属人化しやすい業務の最適化が図れます。さらに各工程のデータを分析することで、従業員の技術に依存することなく一定の品質を保つ仕組み作りが可能です。
また、拠点が分散しており複数の工場を持つ企業では、図面や指示書の書き方が異なるなど同じ商品でも共通した工程で生産できていないケースがあります。生産管理システムを利用すれば、各工場における生産工程と技術を標準化し、管理体制の統合を実現できます。
データ活用による業務プロセスの省力化
製造工程や製品自体から得られるビッグデータを活用することで、業務プロセスの省力化・効率化が期待できます。製造業における品質チェックは重要な工程ですが、多くのテストを行うため完成までに時間がかかる点が課題でした。
そこで製造工程で得られるデータを参考にし、品質保証に不可欠なテストの種類を見極める仕組みづくりを行ったことで、時間とコストの低減に貢献しています。また作業工程にデータを活用することで、製造ロス削減やトラブルの発見につながり業務改善を実現したケースがあります。
電話対応のデジタル化
電話業務においては、顧客対応の漏れや共有ミスにより業務に支障をきたすなど問題が発生していたケースがありました。そこで、チャットボットやボイスボットを活用した電話対応の自動化をおこない、対応履歴の共有や折り返し電話の徹底などカスタマーサポートを強化しました。対応履歴はパソコンで誰でも容易に確認できるので、部署間の連携強化と業務効率化を実現できます。
また電話対応を自動化することで、これまで顧客対応に割かれていた人員をコア業務に集中させられます。電話対応をデジタル化するためには、顧客管理を行うCRMや自動対応を行うチャットボット・ボイスボットなどのシステム導入が必要です。電話業務のDXに必要なシステム導入には費用がかかるため、外部委託を利用するのがおすすめです。
NTTネクシアではチャットやSNSなど気軽に利用できる「デジタルチャネル」や、人による細やかな問い合わせ対応が可能な「プレミアムコール」などシーンに合わせたサポートを提供しています。顧客対応のデジタル化、マルチチャネル化を検討中の方は、お気軽に「NTTネクシア」へご相談ください。
工場内のIoT化
IoT化とは、設備と基幹システムや製造管理システムなどがネットワークでつながり全体が最適化されることです。工場にある設備や機器をIoT化することで、作業工程など生産に関するデータを収集できます。収集したデータを分析すれば、工場内の業務の「見える化」が可能です。業務の効率化に加え、属人化を防止することができるので技能継承しやすい環境を作れるのがメリットです。
まとめ
製造業においては、働き手の減少や技能継承の難しさなどさまざまな課題に直面しています。それらの課題を解決する手段の1つとして、製造業のDXが注目されています。業務の自動化や工場内のIoT化により、少ない人員で効率の良い「モノづくり」が可能です。しかし製造業DXは、設備投資にコストがかかることから思うように進んでいない企業も多いです。そこで第一段階として、非コア業務である電話対応やバックヤード業務のDXから取り入れる企業が増えています。
NTTネクシアでは、チャットなどのデジタルツールを活用した「次世代型コンタクトセンター」を提供しています。ほかにも紙帳票のデータ化を代行する「データエントリーソリューション」サービスも提案できますので、製造業のDXでお悩みの企業さまはお気軽に「NTTネクシア」へご相談ください。
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