【完全版】金融DXを実現するデジタル技術5選!推進する目的やメリットも解説
レガシーシステムやIT人材の枯渇による経済的影響が顕在化するとされている2025年を目前に、金融業界におけるDX推進が積極的に取り組まれています。しかし、業界としてDXに取り組んではいるものの、思うように進んでいないケースもあるでしょう。
そこで今回の記事では、金融業界におけるDX化の必要性やメリットについて解説します。あわせてDX化推進に活用できるデジタル技術も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
金融業界のDXについて解説
業務効率化が目的となるデジタル化とは異なり、DXは「企業競争の優位性を確立」することが求められます。まずは、金融業界におけるDX推進の必要性を解説します。
DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して人々の生活や社会をより良いものへと変革させていくことです。2004年にエリック・ストルターマン氏(スウェーデンのウメオ大学教授)が論文で提唱したのが始まりです。この論文が発表されたのは、デジタル技術が社会発展に与える影響が認識され始めた頃でした。
日本においては、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」で、このままDX化が進まなければ大きな経済損失を生むと警告しています。その額は、最大で年間12兆円という衝撃的な数字です。DXは市場競争が激化する現代社会において、持続的な企業成長と競争優位を維持していくために欠かせない取り組みです。多くの企業がDXに取り組んでいますが、すべてが正しく実行できているとは言えません。DXを実現するには業務の一部をデジタル化するだけでなく、企業の収益向上に繋がるプロセスへと変えていく必要があります。
金融業界でDX推進が求められる背景
資産を預かる金融業界では、顧客から「信用」を得られなければなりません。そのため、セキュリティの強化が重要視され、一部の担当者しかアクセスできないシステムが構築されています。それぞれの金融機関独自の設計と拡張により、システムがブラックボックス化しているのが特徴です。
このように、金融業界の多くでは老朽化したシステムが多数残っており、コストの増大や新システムとの連携を阻むなど多くの課題を抱えています。このままDXが進まなければデータ活用や新しいシステムの恩恵を受けられず、大きな経済的損失を生む可能性が高まります。そのほか、新規参入企業が増加していることを踏まえると、市場競争を制し優位性を維持していかなければなりません。金融業界においても顧客体験価値の向上や業務効率化など、経営戦略の見直しが必要な点もDXの推進が求められている理由です。
金融DXを推進するメリット3選
金融業界において、市場競争の優位性を維持していくためにDX化が求められています。ここでは、金融DXを推進することで得られるメリットについて解説するので、現在の課題と照らし合わせて取り組みを検討してみてください。
定型業務の効率化
金融業界では、申込書類の処理や請求書の発行など定型業務が多いのが特徴です。これまで人の手で行っていた定型業務にRPAやOCRを活用することで、業務効率化やコスト削減に繋がります。RPA(Robotic Process Automation)は、PC上で行う業務を自動化する技術です。データの転記・登録や同一性チェックなど繰り返しが多い単純作業の自動化に向いています。
OCR(Optical Character Reader)は、紙に記載されている情報をデジタル化する技術です。紙ベースの書類からの入力や保存に向いています。スキャンと同時に指定したフォルダなどへの保存が可能なので、データ入力やファイルの振り分けなどの手間が省けます。このほかにも、チャットボットを導入して問い合わせ対応を自動化すれば、電話応対のために作業を止める必要がなくなり効率の良い業務遂行が可能です。
融資審査の短期化
従来の法人向け銀行融資では、審査のために登記謄本や印鑑証明など多数の資料を用意する必要がありました。企業が提出した決算書や事業計画書など、あらゆる資料をもとに銀行が融資の判断を行います。そのため、融資の申し込みから実行まで時間がかかり、早急に資金提供が必要な企業のニーズに応えられないケースがありました。
そこで、融資審査へのAI活用が注目されています。AIを活用することで、SNS上での事業者の評価など人の手では処理しきれないビッグデータの活用が可能です。また、売上や取引履歴など蓄積されたデータを分析すれば融資審査に活用できます。AI技術とデータを活用することで入出金の流れを細かく把握できるため、正確でスピーディな融資審査が可能となります。
顧客の利便性向上
顧客とのコミュニケーションを対面からデジタルに変えることで、利便性がアップし顧客体験価値の向上が期待できます。例えば外部システムと接続できる「オープンAPI」を利用すれば、金融アプリなど新サービスの迅速な導入が可能です。
また、問い合わせ対応にチャットボットを活用することで、いつでも気軽に知りたい情報を得ることができます。さらに、問い合わせ履歴から顧客ニーズを発見できれば「お客様視点」のサービス開発に繋がり、利便性の向上だけにとどまらず収益アップにも貢献するでしょう。
金融DXに活用できる5つのデジタル技術
金融DXに活用できるデジタル技術には、以下のようなものがあります。
- クラウド
- オープンAPI
- RPA
- AI
- IoT
これらのデジタル技術の特徴と活用シーンを紹介しますので、金融DXに取り組む際の参考にしてみてください。
クラウド
クラウドは、オンプレミスでは得られないさまざまなメリットをもたらします。金融業界ではセキュリティ面で懸念点を抱えていましたが、2018年7月に閣議決定された「サイバーセキュリティ戦略」に基づき、国としてクラウド導入を見据えた体制整備を行ったことで徐々に広がりをみせています。
すでに存在するIT基盤を活用するため、システム開発やサービス提供までの時間を短縮でき迅速な対応が可能です。また、クラウドは最小限の構成からスタートさせ、状況に応じて拡張できます。そのため、顧客や社会のニーズ変化を捉え機会損失を防止できます。クラウドは、金融業界のビジネス変革に必要不可欠なデジタル技術と言えるでしょう。
オープンAPI(Application Programming Interface)
APIとはプログラム同士を繋ぐインターフェースであり、オープンAPIは外部の事業者に開放することを指します。オープンAPIを活用することで、金融機関のシステムと外部データの連携を安全に行うことが可能です。セキュリティ面での懸念点をクリアできるAPIなら、金融機関が外部と連携して新たなサービスの提供が期待できます。
例えば、小売事業者などが自社のサービスとして決済・融資を行える「BaaS」を活用し、金融サービス提供の幅が広がりました。多様な業種と連携可能なオープンAPIは、市場競争の優位性を保つのと同時に社会価値の共創を実現していけるでしょう。
RPA(ロボットプログラムによる作業自動化技術)
RPAは、PC上で行う業務を自動化する技術です。PCやサーバー内で動くソフトウェアで、毎日同じ業務を繰り返す銀行の事務処理に向いています。銀行の事務処理は量が多いため、膨大な時間と労力を費やしてきました。
RPAの登場により、入出金処理や振込処理など毎日のように行われるルーティンワークが自動化され、正確で効率の良い業務遂行を実現します。RPAの活用により定型業務を自動化することで、効率化や生産性向上に貢献します。
AI
AIの導入により、定型業務の効率化や迅速なデータ分析が可能です。AIによるデジタル化には、ボイスボットやOCRの活用があります。例えば、ボイスボットやチャットボットによる問い合わせ対応の自動化を行うことで、人的リソースをコア業務に集中投下できます。OCRの活用は、書類のデータ化やファイルの振り分けの手間を省きます。また、OCRで保存したファイルはキーワード検索ができるため資料探しも簡単です。さらに大量のデータ分析が短時間で行えるなど、さまざまな金融DXに役立ちます。
NTTネクシアでは、オペレーターに代わってAIが電話応対を行う「AI音声応答サービス」や、24時間365日問い合わせに対応できる「チャットボット」をご用意しています。金融業界のDX化でお悩みの企業様は、気軽に「NTTネクシア」へご相談ください。
IoT(Internet of Things)
IoTの活用により、あらゆるモノとインターネットが繋がります。IoT機器を通じた情報の取得は、今後の金融業界のビジネスモデルに大きな変革をもたらすとして注目度の高いデジタル技術です。具体的な例をあげると、ドライバーの運転特性や走行距離などにより保険等級が決定される「テレマティクス自動車保険」があります。
ほかにも、これまで担保対象となりにくかった産業機器や自動車など動産による融資提供が実行されています。融資のための情報収集を容易にし、職業や勤続年数などの属性に依存しないデータを獲得できるのでより適切な審査が可能です。
金融DX推進における課題
金融DXを推進していくうえで、多くの企業がぶつかる課題について理解しておきましょう。事前に課題を想定しておけば、問題にぶつかった際も柔軟な対応が可能です。
レガシーシステムへの依存
レガシーシステムの問題点は単に「古い」というだけでなく、新たなテクノロジーの導入を阻害することです。度重なる改修により複雑化したシステムは、理解している従業員も少なくなり誰も手をつけられない状態となっています。また、カスタマイズを繰り返したシステムは高額な維持管理費がかかることに加え、顧客や社会のニーズに対応できないなどメリットより問題点が多いです。
市場競争の激しさが増す現代社会で事業を継続させていくためには、問題点の多いレガシーシステムからの脱却を図りDX化を推進していかなければなりません。とはいえ、既存システムすべてを刷新することは非常に困難です。そのため、クラウドを活用することでシステムの維持コストを削減し、APIによるデータ連携支援により新たなサービスの提供を可能にします。
IT人材の枯渇
デジタル技術を活用してビジネス変革を行うDXにおいて、IT人材の枯渇は重要な課題の1つです。IT人材不足は金融業界に限ったことではなく、日本全体のあらゆる業種の企業で問題となっています。そのため、新たに人材を採用してIT人材を確保するのは非常に困難です。
また、金融業界の業務で取り扱うデータ量は膨大かつ重要度の高い情報が含まれるため、専門性の高い知識と経験を持つ優秀なIT人材が必要です。IT人材を確保する方法は、従業員の教育または新規採用がありますが、どちらも難しい場合はIT人材が揃っている専門業者へ委託を検討してみると良いでしょう。
まとめ
金融業界のDX化は、他業種と比較すると遅れをとっています。その理由としてあげられるのが、レガシーシステムへの依存とIT人材の枯渇です。そこで、APIやクラウドなどさまざまなデジタル技術を活用しシステムを刷新することで、レガシーシステムからの脱却を図れます。また、デジタル技術により業務の自動化と効率化を進められれば、少ない対応人員で取り組めるでしょう。
自社でIT人材を用意できない場合は、アウトソーシングを行い高い専門性と経験を持つプロに任せることで解決できます。「NTTネクシア」では、豊富な経験と実績をもとに高品質な電話応対を提供しています。さらに、AI技術を活かしたツールの活用により、問い合わせ業務の効率化と顧客満足度向上を実現します。問い合わせ業務の課題は、ぜひ「NTTネクシア」のソリューションにお任せください。
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