DX推進におけるデータ活用の重要性を解説!コールセンターにおける事例4選も紹介
DX推進の成功には「データ活用」が欠かせません。社内外で得られるさまざまなデータを収集・分析し、商品開発やサービス改善に活かすことが重要です。
そこで今回の記事では、DX推進に活用できるデータの収集方法を紹介します。中でも特に多くの情報を得られるコールセンターでの蓄積方法や活用事例も詳しく解説しますので、DX推進でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
DXにおいてデータ活用が重要視される理由
DXとはデジタル技術とデータを活用して、業務プロセスの改善や新規ビジネスを創出し、業界内での市場競争において優位性を確立するための企業変革をもたらす取り組みです。競合他社との差別化を図り優位性を確立するためには、顧客の「潜在的ニーズ」をいち早く発見することが重要です。潜在的ニーズを知るためには口コミやアンケートのほか、閲覧履歴やコールセンターへの問い合わせなど顧客行動に関するデータ分析が欠かせません。
これまでは、従業員の経験や勘など主観的な判断で業務を進めていた企業も多いでしょう。しかし、そのままでは業務の属人化が進んだり固定観念にとらわれて真の課題に気づけないリスクがあったりします。そこで、データをもとにした現状把握や課題を明確化することによる解決策の発見が求められています。自社に蓄積されるデータを「どのように活用するか」は、DX推進を成功させるための重要なポイントです。
【収集方法別】DXに活用できるデータ
DXに活用できるデータは、さまざまな方法で集められます。この章では、3つの収集方法で集められるデータを紹介しますので参考にしてみてください。
コールセンターで収集できるデータ
コールセンターで収集できるデータには、以下のようなものがあります。
- 顧客情報(氏名・年齢・住所・性別など)
- 購入または利用履歴
- 商品・サービスに関する質問や意見
- KPI(Key Performance Indicator)
氏名や性別などの顧客情報だけでなく、商品・サービスに関する質問や意見などVOC(お客さまの声)を収集できます。またコールセンターでは問い合わせに対応できた割合や通話内容を記録して、後処理に費やした時間を測定する「KPI」を用います。
KPIは目標の達成度合いを測る指標であり、定量的に測定することでコールセンターの課題や解決策の発見に有効です。インターネットが普及し顧客のタッチポイントが減少している中で、直接つながりをもてるコールセンターは顧客に関するデータを蓄積できる部署として重要視されています。
SNS上のデータ
インターネットの普及に伴い、SNSを利用する人が増えています。SNS上には商品・サービスに対する感想など消費者の声が日々投稿されているので、数値化や類型化し難い言葉で表現される定性データの収集が可能です。
自社製品だけでなく競合他社の情報も得られるため、SNSによるデータ収集を行う企業が増加しています。またSNS上には「興味はあるが購入に至らない」といった潜在顧客の声も投稿されています。購入に至らない理由や原因を明確にすることで、潜在顧客への適切なアプローチが可能です。
アンケートで収集したデータ
アンケートでは実際に数値化できる「定量データ」と、個人の感想など数字では表せられない「定性データ」の収集が可能です。定量データを収集したい場合は「はい・いいえ」で答えられるものや、選択肢の中から選ぶなど気軽に回答できる形式を用います。定性データを集めたい場合は、記述式を用いて自由に感想や意見を記入してもらいます。収集する際は、紙やWebを使用する方法が一般的です。
紙は年齢を問わず気軽に使用できますが、紙代や印刷代などコストがかかることと、結果の集計・分析に手間を要する点がデメリットです。一方でWebによるアンケート実施は、コストと手間を抑えられるメリットがあります。しかし、パソコンやスマートフォンの操作に慣れていない人には不向きです。
NTTネクシアでは、紙のデータ化を行うソリューションを提供しています。AIの学習機能により、使用回数が増えるほど精度の高いデータ化を実現できます。紙によるアンケート集計・分析でお困りの方は、お気軽にNTTネクシアへご相談ください
【システム別】DXに向けたコールセンターでの5つのデータ蓄積方法
さまざまなデータ収集方法がありますが、なかでもコールセンターは特に多くの情報を蓄積できる部門といえます。この章では、コールセンターで使用されるシステムでどのようなデータが収集できるかを解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
CRM(Customer Relationship Management)
CRMは、顧客に関する情報を一元管理するシステムです。氏名や性別などの顧客情報以外にも、来店頻度や購入履歴など企業と良好な関係性を維持するために必要なデータを蓄積できます。
そのため商品の購入やサービスを利用したことがある既存顧客だけでなく、資料請求などにより獲得した見込み顧客の管理も可能です。CRMを活用すれば部署ごとに散在していた顧客情報を一元管理できるので、企業全体で連携のとれた営業活動となり、迅速な課題解決や新たな手法の発見につながります。
CTI(Computer Telephony Integration)
CTIはコンピューターと電話やFAXを統合する技術で、通話録音や着信履歴の管理ができる機能が付属しています。通話録音機能は顧客とオペレーターの通話を自動で録音し、データとして残すことであとから会話の内容を確認できます。
通話録音のデータは、CRMで管理する顧客情報との連携が可能です。顧客からの着信履歴は日時も含めて記録されるので「いつどのような内容で問い合わせを受けたか」を管理できるのがメリットです。
音声認識システム
音声認識システムでは、通話録音などの音声データを自動でテキスト化できます。これまでは通話終了後にオペレーター自身が記録していましたが、音声認識システムを活用することで正確で効率の良いデータ蓄積が可能です。またテキストデータであれば検索機能が使えるため、時間と手間を省いて通話内容を確認できるのがメリットです。
チャット
チャットとは、テキストを使ってリアルタイムで顧客とのやり取りができるツールです。時間を気にせず気軽にいつでも利用できるため、些細な質問や疑問を問い合わせやすいのがメリットです。
AI搭載型であれば利用頻度が高いほど精度も上がり、利用者の増加も見込めるため多くのデータが蓄積されます。蓄積されたデータはチャットの精度向上だけでなく顧客ニーズの把握につながり、商品開発やサービス改善に役立ちます。
FAQシステム
よくある質問と回答を設定し、Webサイト上で疑問や質問を解決できるのがFAQシステムです。FAQシステムにはデータ蓄積と分析機能がついており、利用状況やアクセス数なども可視化できます。
利用者が使いやすいFAQシステムになることで、顧客の自己解決率がアップします。自己解決率が上がれば、コールセンターへの入電数軽減が期待できるでしょう。結果として応答率向上につながり、顧客満足度向上やオペレーターの負担軽減に貢献します。
コールセンターDXにおけるデータの活用事例4選
コールセンターのDX推進における、データ活用の成功事例を紹介します。コールセンターのDX推進は電話応対業務の変革だけでなく、商品開発やサービス改善など企業の収益向上にもつながるので、ぜひ参考にしてみてください。
VOC分析による顧客体験価値向上
コールセンターは、貴重な顧客とのタッチポイントです。企業に対する満足度にも影響するため、問い合わせ対応における顧客体験価値を高めることが重要視されています。
VOC「お客さまの声」を分析することでコールセンターや実店舗など、あらゆるタッチポイントにおける顧客体験価値向上につながります。たとえばコールセンターにおいては、通話時間の長さや説明の分かりやすさなどに関するデータを収集・分析することで、電話応対の品質向上が期待できるでしょう。
KPI分析による機会損失の軽減
KPIは、目標に対する達成度合いを測る指標です。コールセンターでは着信に応答できた割合を示す「応答率」や、1件の問い合わせ対応にかかった時間の平均を表す「AHT(平均処理時間)」などのKPIを測定します。コールセンターでよくある課題は「電話のつながりにくさ」です。
応答率が低いときが「つながりにくい」状況を表しており、人手不足や1件の電話応対にかかる時間が長いなどさまざまな要因が考えられます。KPIを分析することで「どの工程に問題があるか」を明確にできるので、適切な改善策を講じることが可能です。電話がつながりやすいコールセンターとなることで、機会損失の軽減につながります。
通話内容分析によるオペレーター育成
人手不足により、オペレーターの教育体制に課題を抱えているコールセンターは多いです。通話内容分析は、オペレーターを育成するための体制構築に活用できます。
優秀なオペレーターの通話内容を分析することで、質の高いマニュアルやトークスクリプトの作成が可能です。マニュアルとトークスクリプトがあれば、受け答えの仕方や言葉遣いなど顧客対応に必要な基本的なスキルを身に付けるのに役立ちます。
問い合わせ記録をもとにした業務効率化
問い合わせ記録を一元管理して活用することで、対応の漏れや何度も同じことを聞くなど電話応対のミスを未然に防げます。これまでの経緯を把握しやすくなるので、無駄な時間を省きスムーズな問い合わせ対応を実現できるでしょう。
また、担当者不在時は別のオペレーターが対応できる体制を整えられます。問い合わせ記録を全社的に共有すれば、顧客に安心感を与えるとともに効率のよい業務遂行が可能です。
コールセンターで収集できるデータを活用したDXのポイント3選
コールセンターのDXを推進する際は、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- セキュリティ対策
- IT人材の確保
- 信憑性のあるデータ収集
個人情報の取り扱いや使用するデータの信憑性などDX推進時の注意点を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
セキュリティ対策
DX推進に必要なデータには個人情報が含まれるため、十分なセキュリティ対策を講じる必要があります。個人情報が流出してしまえば、企業の信頼を失墜させることにつながるからです。外部からのサイバー攻撃だけでなく、内部不正によるセキュリティ事故への対策も徹底することが大切です。
サイバー攻撃からデータを守る方法は、セキュリティ対策ソフトの導入やOS・ブラウザを常に最新状態に保つなど、さまざまな手段があります。しかし、セキュリティ対策も万全ではないため、万が一攻撃された場合は迅速な対応が必要です。内部不正防止策としては、Webアクセス制限や外部記憶媒体の持ち込み禁止など社内ルールの周知を徹底して行いましょう。
IT人材の確保
DX推進には、デジタル技術に精通した「IT人材」の確保が必要不可欠です。さらにデータを活用するためには、集めた情報を分析できる人材も必要となります。データ活用を行う人材には、単にITに詳しいだけでなく以下3つのスキルを持っているかが重要です。
- データエンジニアリングスキル(データ収集等のスキル)
- データサイエンススキル(データ分析・解析等のスキル)
- 一般的なビジネススキル
ただし、すべてのスキルを持つ人材を確保するのは難しいです。その場合は、チーム単位でそれぞれのスキルを持った人材を揃えましょう。その際、社内でチームを作る以外にも、受託事業者への外部委託を検討する方法もあります。
信憑性のあるデータ収集
信憑性に欠けるデータでは、正確な分析結果が出ません。誤った分析結果では求める成果が出せず、コールセンターのDX推進の失敗につながる可能性が高いです。そのためデータ活用を行う際は、発信元と情報の信憑性を確認しながら取り組む必要があります。
また正確な分析結果を出すためには、母数の大きいデータを利用することが重要です。分析方法はアンケート分析の基本となる「クロス集計」や、事象の発生確率を測定する「ロジスティック回帰分析」など確立された手法があります。場面に合わせて、適切な分析方法を用いて算出することが大切です。
まとめ
モノが溢れる現代で競合他社との差別化を図り優位性を確立するためには、さまざまなデータを活用して顧客ニーズを正確に捉えた商品開発やマーケティング活動が必要不可欠です。コールセンターは企業にとって貴重な顧客とのタッチポイントであり、商品・サービスの改善や新製品の開発につながるVOC(お客さまの声)を収集できます。
NTTネクシアでは録音された通話内容をテキスト化し、企業ニーズに合わせた分析結果を提供する「VOC(お客様の声)分析サービス」をご利用いただけます。企業に寄せられる「お客さまの声」を可視化することで、顧客満足度向上や売上拡大につながる企業活動への活用が可能です。また、紙によるアンケートの集計は「データエントリーソリューション」によるデータ化が有効です。DX推進におけるデータ活用でお困りの企業さまは、ぜひ「NTTネクシア」へご相談ください。
ご相談やご質問など、
お気軽にお問い合わせください。