地域通貨とは?自治体や加盟店の活用メリットや課題、成功事例を紹介

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  • #業務効率化
  • #顧客接点(窓口)の強化

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地域通貨とは、特定の地域やコミュニティで使用することを目的とした通貨です。地域通貨の歴史は古く、従来は紙幣方式や口座方式が主流でしたが、近年ではキャッシュレスの普及によりデジタル地域通貨が注目されています。

一方で、地域通貨には運用時の業務負荷やコストなどの課題も少なくありません。

本記事では、地域通貨の意味や特徴、活用のメリットやデメリット、そして成功事例をご紹介します。

目次

地域通貨とは?

地域通貨とは、特定のエリアやコミュニティでのみ使用可能な通貨のことで、「地域クーポン」、「プレミアム商品券」とも呼ばれています。

地域通貨は、自治体や企業が独自に発行し、地域活性や地域価値の発掘、コミュニティの再構築などを目的として発行されるものです。「通貨」という名称がついているものの、国が発行する「円」や海外通貨の「ドル」とは全く異なります。

また、法定通貨と呼ばれる通貨も存在します。法定通貨は、円・ドルなど国家や中央銀行により管理される強制通用力(法律によって決済手段として認められる効力)のある通貨のことです。企業や地域の商店街などで発行される、地域通貨とは異なるので注意が必要です。

地域通貨の種類

地域通貨の種類は、以下の4種類です。

  • 紙幣方式
  • 口座方式
  • 手形(小切手)方式
  • デジタル方式

ここからは、上記4つをそれぞれ詳しく説明します。

紙幣方式

紙幣方式の地域通貨は、発行主体となる事務局や団体、個人が独自のデザイン、メッセージを印刷した紙幣を発行し、参加者間の取引を通じて流通していくタイプです。通貨の発行は、単一の発行主体が集中的に行う「集中発行方式」となります。

口座方式

地域通貨には、紙幣を発行せず参加者が残高0円の口座を持ち、取引を通じて残高を変化させていく「口座方式」と呼ばれる仕組みがあります。この方式では、財やサービスを提供(販売)したときに黒字(プラス)にし、反対に財やサービスを購入したときに口座残高を赤字(マイナス)に記帳していく仕組みで決済取引が行われます。

このように、口座方式では地域通貨の参加者の口座残高や取引が公開され、紙幣を使わずに直接口座に数字を記録するのが特徴です。

手形(小切手)方式

手形方式の地域通貨は、財やサービスの提供を受けた個人が自ら新たに手形として債務証券を振り出す、もしくは第三者から受け取った手形に裏書きして使う方法のいずれかによって行う取引方式です。

通貨発行に関しては、財やサービスの買い手が取引額に応じてその場で通貨を発行する「分散発行方式」となります。

デジタル方式

2022年には、賃金のデジタル払いの法改正もあり、日本でもキャッシュレスが推進されています。キャッシュレスの追い風を受けて、注目が高まっているのがデジタル方式の地域通貨です。

デジタル地域通貨とは、特定の地域のみで利用できる電子決済手段のことを指します。紙媒体のような運用コストがかからず、さらには口座方式のように記帳する手間も低減できるのがメリットです。

以下の記事では、デジタル地域通貨を導入した自治体の事例をお読みいただけます。

地域通貨の特徴

地域通貨は、通常の市場では活かしにくい個人の能力を特定の地域で活かす目的で使用し、「助けを必要とする人」と「助けることができる人」をつなぐ媒介通貨である点が大きな特徴です。また、多くの地域通貨には消費を促すために有効期限が設けられている点も、一般の通貨と異なるポイントとなります。

自治体や加盟店が地域通貨を活用するメリット

自治体や加盟店が地域通貨を活用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 地域経済の活性化・連携の強化
  • 地域外からの新規顧客獲得と囲い込み
  • ブランディングやPRの推進

ここからは、上記3つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

地域経済の活性化・連携の強化

地域通貨の導入により、地域特有の課題を解決しつつ、その地域の活性化に繋げられる点がメリットです。地域通貨を用いると「誰がどこで何を購入したのか」という詳細な消費行動データが収集可能になります。従来の現金やクレジットカードでは把握が困難だった地域住民のニーズや購買行動を確認できるため、より効果的な販売・マーケティング戦略を策定しやすくなるのです。

また、地域住民の声を共有しあうことで、企業同士や企業と個人の結びつきの強化も期待できます。地域通貨は地域内でお金が使われ、循環することで経済活性化に寄与するでしょう。

地域外からの新規顧客獲得と囲い込み

地域通貨を取り入れることで、地域外からの新規顧客の獲得も促せる点がメリットの一つです。さらに、地域通貨を複数のテーマで発行することにより、顧客の利用頻度を高めてリピーターを作るのにも役立ちます。

例えば、「プレミアム商品券」や「健康促進」「出産・子育て応援」「観光券」など、利用シーンが異なる複数の地域通貨を発行すれば、幅広い観点から顧客を囲い込みやすくなるでしょう。

ブランディングやPRの推進

地域通貨の導入は、地域や企業のブランディングやPR施策の推進にも効果的です。特定の地域を認知させるだけでなく、実際に足を運んでもらうプロモーション手法として地域通貨を活用した事例もあります。SNSによるPRやイベント開催に加えて地域通貨を活用することで、地域や企業のブランディング推進が期待できるでしょう。

地域通貨のデメリットや課題

地域通貨の導入には、さまざまなメリットがありますが、一方でデメリットや課題も存在します。地域通貨のデメリットや課題は、以下の3つのとおりです。

  • 運用のための業務負荷やコスト
  • マーケティング的な視点による収益性の向上
  • 財源の確保

運用のための業務負荷やコスト

地域通貨を継続的に運用するには、商品券やポイントカードなどの印刷や保管、発送、集計などの作業が必要となり、業務負荷やコストがかかりやすいことが注意点です。加盟店や利用者からの問い合わせ対応も発生するため、これらの業務負荷やコストを100%削減できないのはデメリットといえるでしょう。

コストを抑えやすいデジタル通貨でも、システム導入や保守運用には手間がかかるため、地域内で運用する場合にはIT知見のある人材確保が必要です。

マーケティング的な視点による収益性の向上

地域通貨の中には、用途が限定的すぎたり、インセンティブが弱かったりするのが原因となり、廃止されるものも少なくありません。地域通貨の廃止を防ぐには、マーケティングの視点で収益性を向上させる仕組みを作り続けなくてはなりません。顧客の声をアンケートなどで収集し、改善サイクルを回す必要があるでしょう。

財源の確保

地域通貨の多くは、国庫からの交付金や補助金を財源としています。そのため、補助金が終了すると財源が不足し、運用の継続が困難になるケースもあります。

地域通貨を継続的に活用するには、収益性を確保しながら、事業継続のための財源確保方法も検討しなければならないでしょう。

以下の資料では、自治体をDX化する際の事例についてまとめています。あわせて参考にしてみてください。

NTTネクシアの「地域通貨デジタル化まるごとパッケージ」

地域通貨の導入を検討する際は地域活性化のようなメリットだけでなく、運用コストや財源の持続などの課題にも目を向けなければなりません
そこでおすすめしたいのが、NTTネクシアの「地域通貨デジタル化まるごとパッケージ」です。「地域通貨デジタル化まるごとパッケージ」は、NTTネクシアのコンタクトセンター/BPOソリューションと、NTT東日本グループのさまざまなソリューションを組み合わせたサービスで、地域通貨の導入から事務局業務までトータルでサポートを行います。地域通貨の導入を検討している方はぜひご相談ください。

地域通貨の成功事例5選

ここからは、さまざまな地域通貨の活用事例を紹介します。

小江戸ペイ|埼玉県川越市

埼玉県川越市のプレミアム付電子商品券「小江戸ペイ」は、新型コロナウイルス感染症において経営が厳しい飲食店や市内商店の販売を促進し、物価高騰から市民の消費生活を支えるために導入されました。

NTTネクシアとNTT東日本グループ各社による「地域通貨デジタル化まるごとパッケージ」を活用し、紙資源の節約、地域のデジタルリテラシー向上を目的に「電子商品券」を採用しているのが特徴です。

くらポ|山形県大蔵村

山形県の大蔵村では、地域内経済循環の創出、キャッシュレス決済の普及などを目的として大蔵村共通ポイント「くらポ」を運用しています。

NTTネクシアは「地域振興券共通ポイント」や「ポイント還元サービス」、「村営バス利用時のキャッシュレス決済」などを提案し、住民がスマートかつ安心安全に暮らせる「サスティナブルな地域」作りを支援しました。

めぐりん|香川県高松市

香川県高松市では、地域共通ポイント「めぐりん」を導入しています。当初はカード事業のみ展開されていましたが、スマートフォン所持率の向上により、便利なお財布アプリ「マイデジ」と合わせた活用を進めています。マイデジは、お財布機能に加え、クーポンやアンケート、スタンプラリーなど、地元のコミュニティーサービスを利用できるのが特徴です。

MIMACA|徳島県美馬市

徳島県美馬市では、デジタル地域通貨「MIMACA」を運用しています。市内の加盟店でのみ使用できる電子ポイント「ミマポ」の発行・流通により、今後キャッシュレス決済の普及、地域経済の好循環を目指しています

ネギ―|埼玉県深谷市

埼玉県深谷市では、深谷市が一丸となり、持続可能な地域経営を実現することを目的としてQRコード決済による深谷市の地域通貨「ネギー」を発行しています。QRコードを活用するネギーは、アプリとカードタイプのいずれかから選べるのが特徴です。

また、市民にさまざまなチャレンジに参加してもらい、目標を達成できた場合にポイントが還元される「ネギーチャレンジ」も実施しています。

まとめ

今回は、地域通貨の概要と導入のメリットなどについて詳しく解説しました。地域通貨は、地域の活性化や新規顧客の囲い込みなどのメリットがあるものの、運用のための業務負荷やコストが懸念されます。

地域通貨の導入にまつわる業務負荷を削減しつつ、継続的に利用者を獲得したい場合は、NTTネクシアが提供する「地域通貨デジタル化まるごとパッケージ」の利用をぜひご検討ください。「地域通貨デジタル化まるごとパッケージ」では、加盟店や利用者からの問い合わせ対応、分析・報告といった業務を代行できるだけでなく、地域通貨を継続的に普及させるために必要な各種データの分析・報告も支援いたします。

デジタル地域通貨を活用した、地域活性化に取り組みたい方はぜひお気軽にご相談ください。

地域通貨デジタル化まるごとパッケージ

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